著者
河田 真清
出版者
札幌学院大学総合研究所 = Research Institute of Sapporo Gakuin University
雑誌
札幌学院大学経営論集 = Sapporo Gakuin University Review of Business Administration (ISSN:18841589)
巻号頁・発行日
no.14, pp.15-26, 2020-10-31

北海道鶴居村は,釧路市に隣接し,国立公園に指定されている釧路湿原を含む人口約2,600人の村である。広大で特異な景観や特別天然記念物のタンチョウという観光資源がありながら,以前は通過型観光地に甘んじており,観光客の滞在時間が短く,宿泊数も伸び悩み,観光による経済効果が薄かった。しかし,民間事業者が,「ここにしかない観光資源」「ここだから体験できる観光資源」を発掘,発見し,それを体験型観光資源として磨きあげ,観光ビジネスに取り組んだ。天然素材を使った料理や自然を味わうアドベンチャー・ツーリズムの観光メニューの構築を進めた。そのことによって,来村客を増やし,観光入込数,宿泊数の増加に結び付けた。現在は,新型コロナウィルス感染症による影響を受けている状況にあるが,テロワールの考え方に類似した地域の本物の資源を活用した観光事業としての回復を期待したい。