著者
河邉 宏 リャウ カオーリー
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
Geographical review of Japan, Series B (ISSN:02896001)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.1-14, 1994-06-30 (Released:2008-12-25)
参考文献数
11
被引用文献数
1 2

11,470の世帯主とその配偶者を対象として行われた人口移動歴の調査データから,結婚に伴って発生した県間移動を性,定住性,教育程度,結婚期間,続柄の5属性別に,大都市圏中核部,大都市圏周辺部,地方中核,地方の非過疎地域,過疎地域の5類型のそれぞれにっいて観察して得られた結果の概略は, (1) 大都市圏中核部では女子は流入超過,男子は若干流出超過であるが,結婚に伴う移動が他地域出生者の割合を上昇させるように作用しており,過疎地域での人的資源が将来一層枯渇するように作用している, (2) 結婚に伴う移動では,石油危機以降とそれ以前とでは大都市圏中核部では流出超過から流入超過への変化が,また過疎地域とでは移動方向に反対の逆転が見られる, (3) 世帯主と配偶者の続柄別の移動方向は同じである,という点である。