- 著者
-
仁井谷 暁子
松浦 浩徳
藤本 亘
河野 匡彦
石原 諭
堀家 英之
佐々木 環
佐々木 慎理
- 出版者
- 日本皮膚科学会西部支部
- 雑誌
- 西日本皮膚科 = The Nishinihon journal of dermatology (ISSN:03869784)
- 巻号頁・発行日
- vol.70, no.4, pp.387-392, 2008-08-01
- 参考文献数
- 13
単純血漿交換法を施行した中毒性表皮壊死剥離症(toxic epidermal necrolysis;TEN)の2例を報告する。症例1:50代の女性。感冒様症状に対し,ルル<SUP>®</SUP>,バファリン<SUP>®</SUP>,アルピニー<SUP>®</SUP>坐薬を使用後発症。症例2:60代の男性。急性心筋梗塞を発症し,治療過程で多剤を使用しており原因薬剤は特定できず。いずれもステロイドパルス療法を施行後も紅斑,表皮剥離が進展し,単純血漿交換法を施行した。2例とも数日以内にびらん面の上皮化が認められたが,症例2は急性心不全により死亡した。TENの発症機序にFas/Fas系を介した表皮角化細胞のapoptosiが提唱されているが,自験例では血漿交換施行前の患者血清中sFasLの上昇が認められなかった。自験例で単純血漿交換法が有効であったことはTENの発症·進展にはsFasL以外にも重要な因子が関与する可能性を示唆している。