著者
吉村剛 河野健二
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS)
巻号頁・発行日
vol.2014-OS-130, no.10, pp.1-12, 2014-07-21

Linux カーネルにおいてバグ対策は不可欠である.しかし,コードの大規模化に伴い,バグ対策のために必要となるシステム全体の深い知識や誤りやすいパターンを把握することは難しい.特に誤りやすいパターンを把握するためには過去に大量に蓄積されたバグ報告やパッチの変更履歴を把握しなければならない.本研究は linux のパッチ 37 万件に対してパッチの説明文を自然言語処理し,トップダウンクラスタリングを用いることで全体の中でより高い頻度で発生した話題を抽出し,パッチ集合を 66 クラスタに分割してバグの実態調査に利用する.調査の有用性を示すため,割り込みに関するクラスタを調査してバグパターンを定義し,コード解析による検査を linux 3.15 において行って 2 件のバグを発見した.
著者
堀江光 浅原理人 山田浩史 河野健二
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS)
巻号頁・発行日
vol.2014-OS-128, no.11, pp.1-10, 2014-02-27

近年,複数のデータセンタ間を跨いで提供されるクラウド環境が登場している.これは各データセンタで稼働する計算資源を集約することで,クラウド環境の特徴である伸縮性や可用性の向上を図っている.スケーラビリティの観点から,このような多数のサーバを用いた環境での利用に適したストレージのひとつとして分散型キーバリューストアがあるが,データセンタ間を結ぶ狭帯域・高遅延なネットワークにより性能が著しく低下する問題がある.この問題を解決するために,本研究では Local-first Data Rebuilding (LDR), Multi-Layered Distributed Hash Table (ML-DHT) という 2 つの手法を用いてキーバリューストアを構築する方法を提案する.LDR は保存データに冗長性を与えた上で分割することで,ストレージ使用量の増加を抑えつつデータセンタ間通信の量を軽減する.ML-DHT はデータセンタ間通信を最小限に抑えたルーティングにより,通信遅延を抑えたデータ探索を実現する.実験により提案手法が,代表的な DHT である Chord を用いた手法を用いた場合と比較し,データ探索のための通信遅延を約 74%軽減し,ストレージ使用量とデータセンタ間通信量のバランスを柔軟に設定できることを示した.
著者
河野健二著
出版者
岩波書店
巻号頁・発行日
1959