- 著者
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内田 立身
田中 鉄五郎
海野 政治
七島 勉
国分 令子
油井 徳雄
木村 秀夫
室井 秀一
松田 信
刈米 重夫
- 出版者
- 一般社団法人 日本内科学会
- 雑誌
- 日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
- 巻号頁・発行日
- vol.70, no.10, pp.1401-1407, 1981-10-10 (Released:2008-06-12)
- 参考文献数
- 15
- 被引用文献数
-
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日本人女性の鉄欠乏の頻度と成因を明らかにするため,次のごとき調査を行なつた.福島市およびその近郊,避地農村,化学工場,女子高校生999名を対象に,ヘモグロビン値,トランスフェリン飽和率,血清フェリチン値を測定した.その結果,鉄欠乏の頻度は,鉄欠乏性貧血8.4%,潜在性鉄欠乏4.2%,前潜在性鉄欠乏37.4%,正常38.0%,その他12.0%となり,日本人女性の50.0%に何らかの鉄欠乏があることが判明した.この鉄欠乏の成因として,人口構成年令が進むにつれて,血清フェリチン値が上昇することから,月経,分娩などによる鉄の喪失によることが考えられた.また女子高校生の食事鉄量の調査から,摂取鉄量1日あたり10.8~13.4mg,吸収鉄量1.5~1.6mgとなり, iron balanceは負に陥る傾向のあることも明らかとなつた.このように,広範にみられる鉄欠乏の対策として,欧米で実施されている鉄添加食品(iron fortification)の利用が考慮されるべき時期にあることを指摘した.