著者
高橋 史昭 一條 俊浩 高橋 千賀子 渡邊 昭夫 沼津 敬治 中村 行雄 上田 一之 足立 吉數
出版者
日本家畜衛生学会
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.157-163, 2009 (Released:2011-03-05)

黒毛和種牛繁殖農家2戸において、イベルメクチン製剤(アイボメックトピカル(R);IVMT)を用いた駆虫プログラムを実施した。駆虫プログラムは、(1)先ず、牛群全頭にIVMTの推奨量を一斉投与してから一定期間経過後、(2)母牛には分娩1ヵ月前に1回、(3)育成子牛には生後1ヵ月齢と6ヵ月齢の2回投与とした。駆虫プログラム実施後は、1)2戸の農家ともに、乳頭糞線虫の汚染が大幅に改善し、他の蠕虫卵も糞便検査で検出されず、コクシジウムの汚染のみが観察された。2)また、駆虫プログラム実施後、子牛の消化器疾患の罹患数および平均診療回数の減少が確認された。3)生産性については、母牛では空胎日数の短縮および2産目までの人工授精回数の減少傾向が観察された。また、子牛では3ヵ月齢の子牛の体高が標準値を上回り、素牛出荷時における体重の増加傾向が観察された。4)子牛の血清アルブミン値は150-249日齢において対照群より有意に高値を示した(P<0.05)。これらの結果から本駆虫プログラムの実施により消化管内線虫がコントロールされ母牛および子牛の生産性が向上することが示唆された。
著者
矢崎 薫 沼津 敬治 一條 俊浩 佐々木 弘志 佐藤 繁
出版者
日本家畜臨床学会
雑誌
東北家畜臨床研究会報 (ISSN:09147497)
巻号頁・発行日
vol.1988, no.11, pp.17-21, 1988-12-02 (Released:2009-04-22)
参考文献数
12

第四胃右方変位の診断を速やかにするため、臨床症状と打・聴診法による右側肋・〓部における金属性有響音の聴取に加え、異なる薬効を有する臭化プリフィニウム製剤とメトクロプラミド製剤を時間差併用投与した。その結果、投与後の臨床症状の変化は同じ部位で金属性有響音を聴取する第四胃アトニー、腸管疾患では改善され、第四胃右方変位および右方捻転では改善されないことから、それらの疾患の鑑別が可能であることが示唆され、その後の処置を施したところ良好な治療効果が認められた。