著者
本薗 幸広 波多野 和広 菅原 徳夫 石橋 晃
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.247-252, 1998-03-25 (Released:2008-03-10)
参考文献数
17
被引用文献数
1

ブロイラー雛に2種類の有機クロム,ピコリン酸クロムおよび酵母クロムを給与した場合の発育および屠体成分への影響を調べた.アーバーエーカー1週齢の雌雛,各区20羽を6週齢まで群飼した.給与飼料は1週齢から3週齢までは粗タンパク質21.5%,代謝エネルギー3.10kcal/g,4週齢から6週齢までは粗タンパク質18.3%,代謝エネルギー3.20kcal/gの基礎飼料を用い,ピコリン酸クロムおよび酵母クロムをクロムとして0,200および400ppbになるように添加した.体重および飼料摂取量は毎週記録した.試験終了時に屠殺して,腹腔内脂肪と皮なしの胸肉および皮付きのもも肉の粗脂肪含量,粗タンパク質含量,水分含量を測定した.クロム添加区では飼料摂取量および増体重ともに低下する傾向がみられ,特に酵母クロムの添加区(400ppb)で増体重が有意に低下した.また,ピコリン酸クロムの添加区よりも酵母クロムの添加区の方が負の影響が大きかった.腹腔内脂肪および皮付きのもも肉と皮なしの胸肉の粗タンパク質含量および水分含量はクロム添加によって影響はうけなかった.皮付きのもも肉の粗脂肪含量はクロム添加の影響を受けなかったが,皮なしの胸肉の粗脂肪含量では飼料中のクロム含量が増加するにつれ低下した.