著者
武山 政直 津久井 かほる
出版者
慶應義塾大学日吉紀要刊行委員会
雑誌
慶応義塾大学日吉紀要 社会科学 (ISSN:13425390)
巻号頁・発行日
no.20, pp.73-89, 2009

膨大の数のユーザによる情報の投稿や編集がWeb サイト上で行なわれ、その結果として集合的な価値が生み出される、いわゆる集合知(Collective Intelligence)のモデルがビジネスの領域だけでなく、非営利の分野においても数多く見られるようになっている。さらに、GPS や各種センサーの組み込まれた携帯電話を利用することで、人々の生活環境から様々な地理的情報を集める、地理空間的集合知の試みも徐々に現れ始めている。本稿は、そのような携帯メディアの利用によって成り立つ地理空間的集合知の特性を把握するとともに、そこで生み出される知を経済的な価値と結びつけ、ビジネスの創出に応用するための条件や概念枠組について考察する。