著者
林 伸和 川島 眞 津村 睦子 吉田 康弘
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 = The Nishinihon journal of dermatology (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.71-74, 2008-02-01
参考文献数
5

糖質マイクロニードルはマルトースを主成分とする微小な針状成型物で,皮膚に圧抵することにより物理的に角層よりも下層の皮膚に薬剤を運び,その部分でマルトースが融解することで薬剤の作用が発現するという新しいドラッグデリバリーシステムである。今回,アスコルビン酸リン酸マグネシウムを含有した糖質マイクロニードルを作製し,老人性色素斑4例および炎症後色素沈着1例の計5例に使用したところ,著明改善3例,やや改善2例という結果を得た。安全性については,軽度の紅斑や腫脹を認めた症例が3例あったが,いずれも3日以内に症状は消失した。糖質マイクロニードルは経皮的薬剤投与の有望な方法の一つであり,ビタミンC誘導体を含有した糖質マイクロニードルは色素沈着症に対し有用なツールとなりうると考えた。