著者
林 伸和 川端 康浩
出版者
日本臨床皮膚科医会
雑誌
日本臨床皮膚科医会雑誌 (ISSN:13497758)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.63-67, 2018 (Released:2018-06-27)
参考文献数
8

イボにヨクイニンを奨める広告を見て,脂漏性角化症(老人性疣贅)にヨクイニンの処方を希望して皮膚科を受診する患者が少なくない.そこで,ヨクイニンの脂漏例角化症に対する有効性を文献的に検討した. 【方法】医薬品医療機器総合機構のホームページで一般用を含むヨクイニンに関係する医薬品の添付文書の適応症を確認し,医学中央雑誌とPubMedを用いて,脂漏性角化症に関連するヨクイニンの論文を検索し,該当した論文を精査した. 【結果】ヨクイニンを配合する医療用医薬品は36品目あり,そのうちヨクイニンエキスの2品目は尋常性疣贅と青年性扁平疣贅に適応があり,麻杏よく甘湯エキスはイボを適応症としていた.一般用医薬品・要指導医薬品には,ヨクイニンを主成分とする製剤(狭義のヨクイニン)が7品目,せんじ薬である薏苡仁煎が1品目あり,狭義のヨクイニンの適応症は「いぼ,皮膚のあれ」,薏苡仁煎では,「いぼ,皮膚のあれ,利尿,関節痛」となっていた.医学中央雑誌を用いた検索では,「ヨクイニン」で453,「ヨクイニン」と「いぼ」の組合せで113の論文が抽出され,「ヨクイニン」と,「老人性疣贅」もしくは「脂漏性角化症」で3つの論文が該当したが,いずれもヨクイニンの脂漏性角化症への有効性を述べたものではなかった.また,PubMedではヨクイニンで6論文があるが,脂漏性角化症に関係するものはなかった. 【結論】ヨクイニンに脂漏性角化症の適応はなく,有効性を述べた論文はなかった.一般用医薬品などでは平易な病名にするため「いぼ」と表現しているが,ヨクイニンの適応疾患として老人性疣贅は含まれず,ウイルス性疣贅のみを指すと考えられる.患者の誤解をなくすため,適切な啓発活動が必要である.
著者
林 伸和
出版者
日本香粧品学会
雑誌
日本香粧品学会誌 (ISSN:18802532)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.12-19, 2016-03-31 (Released:2017-05-12)
参考文献数
55

Acne is a chronic skin condition that affects patient quality-of-life. More than 90% of the Japanese population experiences acne at some point in their lifetime. Comedones, which are caused by excess sebum secretion and hyperkeratosis in the infundibulum, appear in the first stage of acne. The second stage involves inflammatory eruptions mainly caused by Propionibacterium acnes. Benzyl-peroxide (BPO), and fixed combination products of BPO and clindamycin, became available in Japan in 2015. BPO acts on both comedones and inflammatory eruptions, and it can be used for maintenance therapy because it does not induce antibiotic-resistant P. acnes. To achieve early results and to prevent the emergence of antibiotic-resistant bacteria, the revised guidelines for the treatments of acne in Japan recommend combination therapy with adapalene, antibiotics, and BPO, including fixed-combination topical agents, in the acute inflammatory phase. Once inflammation has improved, comedones treatment should be continued with adapalene and/or BPO in the maintenance phase to achieve further improvement and to prevent recurrence. The acute phase lasts approximately 3 months, and antibiotics should not be used for maintenance therapy. Sometimes, inflammatory eruptions can result in hypertrophic and atrophic scars that cannot be treated completely. Early aggressive treatment is important to prevent scars. Skin care and cosmetics are also important in the treatment of acne as well as to avoid aggravation. The guidelines recommend twice-daily face washing with a suitable cleanser. Non-comedogenic moisturizers should be used by patients who have dry skin and by those who need to avoid the adverse effects of adapalene and BPO. There is no reliable evidence connecting certain foods and acne, and we should not uniformly restrict specific foods. There is compelling evidence demonstrating the efficacy of azelaic acid and chemical peels with glycolic acids in the treatment of acne. Camouflage also helps acne patients improve their quality of life. To improve acne treatments, more evidence is needed regarding the integration of treatments and skin care.
著者
古川 福実 船坂 陽子 師井 洋一 山本 有紀 米井 希 松永 佳世子 秋田 浩孝 上田 説子 薄木 晶子 菊地 克子 幸野 健 田中 俊宏 林 伸和
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.118, no.3, pp.347-356, 2008

Chemical peeling is one of dermatological treatments for certain cutaneous diseases or conditions or aesthetic improvement, which consists of the application of one or more chemical agents to the skin. Chemical peeling has been very popular in medical fields as well as aesthetic fields. Since scientific background and adequate approach is not completely understood or established, medical and social problems have been reported. This prompted us to establish and distribute standard guideline of care for chemical peeling. Previous guidelines such as 2001 version and 2004 version included the minimums for the indications, the chemicals used, their applications, associated precautions, and postpeeling care and findings. The principles were as follows :1) chemical peeling should be performed under the control and the responsibility of the physician. 2) the physician should have knowledge of the skin and subcutaneous tissue and understand the mechanism of wound-healing. 3) the physician should be board-certified in an appropriate specialty such as dermatology. 4) the ultimate judgment regarding the appropriateness of any specific chemical peeling procedure must be made by the physician in light of all standard therapeutic ways, which are presented by each individual patient. Keeping these concepts, this new version of guidelines includes more scientific and detailed approaches from the evidence-based medicine.
著者
牧野 秀成 若林 伸和 矢野 吉治 塩谷 茂明
出版者
公益社団法人 日本航海学会
雑誌
日本航海学会論文集 (ISSN:03887405)
巻号頁・発行日
vol.125, pp.191-197, 2011
被引用文献数
2 1

External forces of marine weather, such as waves, currents and wind flows, affect the course and speed of a ship under way. As a result, marine accidents, such as collisions or grounding, may occur, particularly in inshore areas. On coasts where earthquakes and tsunamis occur frequently, such as the Japanese coast, a tsunami that advances into a bay from the open sea is influenced by the submarine topography. It grows into a huge wave that could cause tremendous damage to ships under way and at anchorage. A massive earthquake occurred in the Tohoku and Kanto regions of Japan on 11 March 2011. In response, a tsunami alert, a tsunami warning and an advisory were issued for the entire Pacific coast region. This research investigates the evacuation behaviour of ships by AIS data in Tokyo bay and Osaka bay after the tsunami warning was issued. The unusual behaviour observed was attributed to the emergency evacuation of ships. In addition, the propagation direction of the tsunami was clarified by analysing the drift situation of each ship.
著者
川島 眞 林 伸和 乃木田 俊辰 柳澤 恭子 水野 惇子
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.117, no.7, pp.1139-1145, 2007-06-20 (Released:2014-12-03)
被引用文献数
2

アトピー性皮膚炎(atopic dermatitis:AD)患者において,ステロイド外用剤等によりADの炎症が鎮静化した乾燥症状を主体とする部位を対象とし,保湿剤(ヘパリン類似物質含有製剤,以下HS)の有用性を,無処置を対照としたランダム化比較試験(randomized controlled trial:RCT)により検討した.炎症が鎮静化した後にHSを1日2回2週間塗布し,寛解が維持された部位を有するAD患者65名をHS継続塗布群あるいは無処置群に無作為割付けし,主要評価項目を炎症の再燃までの期間とし最大6週間観察した.また,皮膚所見(乾燥・落屑)及び痒みの程度の推移を副次的評価項目とした.その結果,6週後における炎症の再燃率はHS継続塗布群で12.5%,無処置群で39.4%であり,HS継続塗布群において有意に炎症の再燃が抑制された(χ2=6.0841,p=0.0136).また,主要評価項目である炎症の再燃までの期間は,両群間に有意な差異が認められ(log rank検定,p=0.0117),HSの継続塗布により炎症の再燃までの期間が延長されることが明らかとなった.また,副次的評価項目についてもHS継続塗布群において,有意に症状の悪化が抑制された.以上より,保湿剤の使用はADの寛解維持に有用であることが示された.
著者
林 伸和
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.106, no.2, pp.279-282, 2017-02-10 (Released:2018-02-10)
参考文献数
3
著者
林 伸和
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学
巻号頁・発行日
vol.8, no.6, pp.793-799, 2009

2008年秋に待望の外用レチノイドであるアダパレンが上市された。アダパレンでは副作用として外用部位における紅斑や鱗屑,乾燥などがみられるが,症状は軽く継続に問題がない症例が多い。第III相の基剤との比較試験では全顔に1日平均0.58g,1年間の長期安全性試験では1日平均0.46gを使用していた。このことから1日の使用量として0.5gを指導し,その後症状と副作用に応じて症例により増減し,個々の患者に最適な使用量を決定するのが適切と考えられる。また,面皰に対する治療の効果を自覚するのは2から3ヵ月を要し,その後の長期継続でさらなる改善を得ることができる。継続使用の重要性を開始時に説明しておくことも重要である。
著者
川島 眞 黒川 一郎 林 伸和 渡辺 雅子 谷岡 未樹
出版者
日本臨床皮膚科医会
雑誌
日本臨床皮膚科医会雑誌 (ISSN:13497758)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.497-507, 2018 (Released:2018-06-27)
参考文献数
5

近年本邦の尋常性痤瘡治療薬,特に外用薬の選択肢が充実し,欧米の治療水準に到達した.それらを選択使用するための治療ガイドラインも策定されている.しかしながら,実地臨床の場では,個々の患者の多彩な症状に応じて薬剤選択を行うが,ガイドラインでの推奨度に応じて自動的に決定できるものではなく,様々な患者背景を考慮して試行錯誤を繰り返すこともある.そこで,日常診療上でしばしば遭遇する尋常性痤瘡の症例を写真で提示し,その患者の年齢,生活様式,経済状況なども考慮したうえで,いかなる治療薬を選択すべきかについて5名の痤瘡治療に精通した皮膚科医により案を作成し,それを27名の痤瘡治療に積極的に取り組む皮膚科医で討議し,コンセンサスを作り上げた.中高生,青年期,社会人の各年代層の顔面の尋常性痤瘡を6ケース,体幹部の尋常性痤瘡を2ケース,特殊な例として下顎部の痤瘡1ケース,アトピー性皮膚炎の合併2ケース,炎症後紅斑,炎症後色素沈着を各1ケース,全体として13ケースについて検討した結果をここに報告し,診療の参考としていただきたいと考える.
著者
林 伸和 木村 淳子 渡邉 智幸
出版者
日本臨床皮膚科医会
雑誌
日本臨床皮膚科医会雑誌 (ISSN:13497758)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.601-609, 2018 (Released:2018-11-11)
参考文献数
11

目的:日本の医師における化膿性汗腺炎の疾患認知度と,治療実態を把握する.方法:化膿性汗腺炎の治療に関係すると予想される診療科の医師にオンラインアンケートを実施し,回答について集計・分析した.結果及び考察:517名の医師より回答が得られた.皮膚科医では,化膿性汗腺炎という疾患名は広く認知されていた.腋窩の病変には化膿性汗腺炎という病名がつけられることが多く,臀部の症例では慢性膿皮症とされることが多かった.腋窩の病変でも,より重症の場合には,慢性膿皮症という診断名がつく傾向が認められた.一方,一般内科開業医などでは化膿性汗腺炎を知らない医師が多く,患者が最初に皮膚科以外の診療科に受診した場合には,正しく診断されない可能性が高いと考えられた.近年, 化膿性汗腺炎の主因は細菌の感染ではなく,毛包における自然免疫の異常に基づく自己免疫異常と考えられるようになっているが,皮膚科医であっても,免疫系の異常が化膿性汗腺炎の病因であると回答したのは半数以下であり,一般的な感染症としての抗菌薬投与が広く行われていることが示唆された.今後,皮膚科医のみならず化膿性汗腺炎を治療する可能性のある医師に対して化膿性汗腺炎の疾患概念や適切な治療に関する啓発が望まれる.
著者
照井 正 鳥居 秀嗣 黒川 一郎 大田 三代 栗本 沙里奈 山崎 清貴 木村 淳子 林 伸和
出版者
金原出版
雑誌
皮膚科の臨床 (ISSN:00181404)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.353-360, 2018-03-01

化膿性汗腺炎の本邦における罹患率は不明で,診断基準および治療指針も確立されていない。本研究は国内における化膿性汗腺炎の患者像,診療状況の把握のためJMDC Claims Databaseを用いて化膿性汗腺炎の患者背景,併存症および治療状況を検討した。その結果,国内の15歳以上65歳未満の年齢層における化膿性汗腺炎患者数は2921人で有病率は0.0039%と推計された。海外で関連が示唆されている喫煙,肥満,メタボリックシンドロームとの明らかな関連性はなかった。治療には内服抗菌剤,外用ステロイド,外用抗菌剤が主に用いられていた。臀部膿瘍,多発皮下膿瘍,慢性膿皮症などの病名で登録されている症例もあると思われる。今後,診断や治療の指針の作成が望まれる。
著者
林 伸和 川島 眞 津村 睦子 吉田 康弘
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 = The Nishinihon journal of dermatology (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.71-74, 2008-02-01
参考文献数
5

糖質マイクロニードルはマルトースを主成分とする微小な針状成型物で,皮膚に圧抵することにより物理的に角層よりも下層の皮膚に薬剤を運び,その部分でマルトースが融解することで薬剤の作用が発現するという新しいドラッグデリバリーシステムである。今回,アスコルビン酸リン酸マグネシウムを含有した糖質マイクロニードルを作製し,老人性色素斑4例および炎症後色素沈着1例の計5例に使用したところ,著明改善3例,やや改善2例という結果を得た。安全性については,軽度の紅斑や腫脹を認めた症例が3例あったが,いずれも3日以内に症状は消失した。糖質マイクロニードルは経皮的薬剤投与の有望な方法の一つであり,ビタミンC誘導体を含有した糖質マイクロニードルは色素沈着症に対し有用なツールとなりうると考えた。