著者
浅子 来美
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.29-36, 2011-03-30 (Released:2016-01-30)
参考文献数
12

目的:Behçet病(BD)ではHLA-B51との相関が指摘されているが,近年HLA-A26との関連も示唆されている.今回,当院におけるBD患者のHLA-A26発現頻度とその臨床像の関連につき検討した. 対象・方法:1989年~2009年の間に当院にて厚生労働省の診断基準によりBDと診断された患者で,HLAの判明している161例(男性76例,女性85例)を対象とした. 結果:HLA-B51陽性率は48.4%,HLA-A26陽性率は29.2%で,いずれも日本人の健常者における発現頻度と比較し有意に高かった(p<0.0001,p=0.0135[Fisher’s exact probability test]).HLA-A26陽性群では,HLA-A26陰性群と比較し血管BD(4.3% vs.21.1%,p=0.0085)と関節炎(23.4% vs.41.2%,p=0.0463)が有意に少なく,有意差はないが腸管BDが多い傾向を示した.HLA-B51陽性とHLA-A26陽性については連鎖不平衡になかった. 結論:以上より,HLA-A26発現頻度は日本人BDでは有意に高いことが確認され,これが日本人におけるBD臨床像の特徴に一部関連する可能性が示唆された.