著者
須田 木綿子 浅川 典子
出版者
一般社団法人日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.46-55, 2004-11-30
被引用文献数
1

特別養護老人ホーム(「特養」と略称)の施設長4人を対象に探索的質的調査を行い,介護保険制度による環境の変化をいかに認識し,どのような対応を試みているのかを検討した.その結果,環境の変化は「ケアの対象」「特養の機能」「現場の理念」「入居者との関係」「歳入と人員配置」の5点から,対応は「人件費節約」「職員の質とモラールの確保」「経営感覚の醸成」「オプショナル・プログラム」「苦情処理制度と第三者評価制度-の対応」「独立した価値の維持」の6点から把握された.対応のあり方は,技術核-管理核の分離を図るか否かによって異なり,プロフェッショナリズムとの関係性も示唆された.またテクノロジーと組織構造の改編は,目的に応じて使い分けられているようすがうかがわれた.今後は,本研究で得られた知見を一般化が可能な方法で検証することが必要とされ,そのための課題が整理された.