著者
中鉢 富夫 浅野 岩夫 及川 勉
出版者
一般社団法人日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料學雜誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.190-193, 1986-04-05
被引用文献数
7

SPAD(501)型葉緑素計を用いて,ササニシキの窒素栄養診断を行うための基礎的調査を実施し,次の結果を得た。1)測定葉位は葉緑素計値と全葉身窒素濃度との相関がきわめて高い主稈の展開第2葉身が適当と判断された。2)葉緑素計値と全葉身窒素濃度との回帰係数は,生育時期により多少異なるが,その差はきわめて小さく,穂肥期(ここでは7月11日から31日)を通した同一の回帰式で窒素濃度を推定しても,実用上差し支えないと判断された。3)測定部位は,葉色が葉身先端部または基部より濃く,安定性も高い葉身中央部が最適と考えられた。4)展葉中または展開第1葉身の葉緑素計値が,カラースケールによる群落としての葉色と最も高い相関を示した。5)宮城県におけるササニシキ栽培の場合,穂肥が必要な葉緑素計値は頴花分化初期で34以下,減数分裂期では30以下付近とみられた。