- 著者
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瀬戸 実
浅野 敏雄
- 出版者
- 公益社団法人 日本薬理学会
- 雑誌
- 日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
- 巻号頁・発行日
- vol.138, no.3, pp.112-116, 2011 (Released:2011-09-10)
- 参考文献数
- 29
Rhoキナーゼは1995~1996年に,低分子量GTP結合タンパク質Rhoの標的タンパク質として同定されたセリン・スレオニンタンパク質リン酸化酵素である.これまでの研究により,Rhoキナーゼは収縮,増殖,遊走,遺伝子発現誘導など細胞の重要な生理機能に関与していることが明らかになっている.また各種病態動物モデルを使用した解析より,Rhoキナーゼの活性亢進が数々の病態を引き起こす原因となっていることが示され,創薬のターゲットとして注目されている.RhoキナーゼにはROCK1とROCK2の2つのアイソフォームがあり高い相同性を有している.ROCK1とROCK2は体内に広く発現しているがROCK2は特に脳と骨格筋に強く発現している.現在製薬メーカーを中心に精力的にRhoキナーゼ阻害薬の開発が行われている.本総説においては,ヒトに投与されたRhoキナーゼ阻害薬の成績を中心に,その有用性について述べたい.