著者
浅野 昌充
出版者
宮崎県立看護大学
雑誌
宮崎県立看護大学研究紀要 (ISSN:1345692X)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.13-27, 2008-03

青年期の低体温改善の可能性を探る目的で,その原因が発育・成長期での運動不足にあるとの想定の下,学生(309人;20歳前後,女子約9割)を対象に,自己判断による生活上の運動量履歴と現在の平熱・最低体温との関係を統計学的に分析した。結果,対象者が全体として,発育・成長期の運動不足によって低体温傾向(平熱36.0±0.4℃;平均値±標準偏差)にあること,また,その時期に体温がほぼ決定してしまうことが明らかとなった。内容的には,小学校低学年以前までに,生活上の運動量によって体温調節の生理構造・機能が最低体温を支える力を備え,その後の運動量によって,平熱が正常値として獲得できていることが示された。改善を必要とする者では生活上の運動量の増加によっても体温が上昇しない一般傾向にあること,また,運動量の減少によって低体温に回帰する傾向の者もあることから,一般的には改善が容易ではないと推察された。しかし,運動の質の向上を含めた,運動の,根気強い継続によって改善方向に向かっている者があることから,改善の可能性の探求の方向性が得られた。