著者
浅野 隆二
出版者
日本医療機器学会
雑誌
医科器械学 (ISSN:0385440X)
巻号頁・発行日
vol.73, no.4, 2003-04-01

手術室の温湿度は,手術を受ける側,行う側の両者にとって最適な環境が望ましいが,現実は麻酔で体温調節中枢が抑圧され,かつ体腔内までが室内空気に晒された状態の患者と,術衣,ガウン,フード手袋,および手術によっては鉛防護衣を着用し,ほとんど室内空気との熱交換ができない状態で長時間立位での手術を行わなければならない医療従事者との間には大きな隔たりがある.また,手術室用の空調設備そのものも,従来の精度の高い空調システムに対して,温湿度制御性能は劣るが機械室スペースの必要としない手術室内設置型のシステムが増加傾向にあり中間期の高湿度等の問題が発生している状況である.手術室の温湿度環境は,日本で唯一の病院設備の規定であるHEAS-02-1998にてDB22℃〜24℃〜26℃,RH45%〜50%〜60%とされている.一般に手術室では壁面の人の胸辺りの位置に温湿度センサを設置し制御しているが,測定している温湿度は吸込み口付近のもっと熱い(冷房の場合)空気だと思われる.その温湿度センサの位置を変えることによって医療従事者周辺,術野の温湿度状況がどのように変わるかの数値解析を行った.