著者
服部 滋 浜島 求女
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子化學 (ISSN:00232556)
巻号頁・発行日
vol.27, no.307, pp.775-784, 1970
被引用文献数
7

分取用ゲルパーミエーションクロマトグラフィー (GPC) を用いてポリスチレン試料 (旭・ダウ, スチロン683-7) の分別を行ない, その実験条件および分別結果について検討した. 温度35℃でテトラヒドラフラン (THF) を溶媒として用いて, 2本の分取用GPCカラム (ボアサイズ3×10<SUP>6</SUP>Aおよび105A) を用いて分別を行なうと, 試料は9区分に分けられる. 最初と最後の区分の量は, 中心区分 (第4区分~第6区分) に比べると非常に少ない. 分析用GPCを用いて測定したそれらの各区分の分子量分布は, 高分子量区分ではかなり狭いが, 低分子量区分では広くなっている. また, 注入試料濃度 (0.5および1.0g/100ml), 流速 (20および30ml/min), および試料注入の回数 (1および15回) の三つの条件を変えた場合, あまり異なる結果は得られなかった.<BR>さらにもう1本のカラム (ポアサイズ10<SUP>4</SUP>A) を加え, 3本のカラムで分別を行なった場合, 分別区分の数は15個になった. 試料注入濃度1.0g/100mlの場合には, 2本のカラムの場合と同様に低分子量区分の分布は広くなるが, しかしそれらは濃度を低くすると狭くなり, 濃度0.2g/100mlの場合には, M<SUB>w</SUB>/M<SUB>n</SUB>の値はすべての区分において1.2~1.4であった. これらの結果から, GPCの濃度依存性について考察した.<BR>また溶媒としてトルエソを用いた場合は, 分別結果はTHFの場合とほとんど同じであるが, メチルエチルケトンを用いた場合は区分のMw/Mnの値も小さく, 他の二つの溶媒の場合よりやや良い結果が得られた. これはメチルエチルケトンが, 他の二つに比べてポリスチレンに対して貧溶媒であるためと考えられる.