著者
杉山 泰之 吉川 公規 浜崎 櫻 久田 秀彦 大城 晃
出版者
一般社団法人日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料學雜誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.215-218, 2003-04-05
参考文献数
6
被引用文献数
1

葉中無機成分含有率には樹体の肥料成分吸収状態や栄養状態が反映されることから、ウンシュウミカンでは葉中無機成分による栄養診断が広く行われている。静岡県では生産現場の栄養診断を1963年から、長年行ってきており、それらの結果から葉中無機成分の基準域を設定し、施肥改善、栄養状態改善の対策に生かしてきた。1989年からは冬季の根中デンプン含有率を調査し、収量および次年度の着花数との関連を検討してきた。その結果、根中デンプン含有率が栄養診断の指標となりうることを示した。一方、施肥量や着果量と葉中無機成分含有率や根中炭水化物量との関連性についての報告は、調査が試験研究機関内で行われたものが多く、生産現場で長期にわたり栄養診断を実施し、取りまとめた報告はない。そこで、静岡県内の各産地におけるウンシュウミカン'青島温州'の代表園での近年11年間の栄養状態(葉中無機成分含有率、根中デンプン含有率)と着果数の関係を調査し、生産現場での現状と問題点について知見が得られたので報告する。