著者
入口 陽介 浜田 勉
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.574, 2017-05-24

定義 スキルス胃癌の線維性収縮が軽度〜中等度の場合,胃体部大彎の縦走するひだに交錯する横走する粘膜ひだを認め,ベルギーワッフル(Fig. 1)に類似していることから呼称されている1).胃底腺領域に原発巣が存在するスキルス胃癌では,原発巣以外の粘膜層には癌浸潤は認めないため粘膜層の伸展は良好であるのに対して,粘膜下層以深に浸潤している領域では,器質的変化が生じて弾性が消失し,長軸方向と短軸方向の両方向への短縮が認められ,縦走するひだに横走するひだが生じ交錯する形態を呈することがある(Fig. 2,3).
著者
最所 大輔 加治 文也 浜田 勉
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.507-515, 1990-02-20 (Released:2014-11-20)
参考文献数
22

胃上部 (C領域) における早期癌の診断を向上させるために, 同領域の早期癌83例86病変 (噴門部癌19例20病変を含む) について, 食道胃接合部から癌の中心までの距離が1cm以内にあるものをCA1群, 2cm以内にあるものをCA2群, 2.1-4cmの噴門部近傍にあるものをNC群, 4.1cm以上離れた体上部にあるものをUB群とし, 各々の病巣についてX線診断学的な観察を行った. 1) C領域および噴門部における早期癌の頻度は11.2%と2.6%で, 他の領域に比較して早期癌の占める割合が低く, 陥凹型にm癌が少なく, 同部における陥凹型早期癌の診断が困難であることを示していた. 食道胃接合部に近づくにつれて分化型癌の占める割合は増加し, 11-30mmの大きさを示すものではsmへ浸潤する病変が増加した. 2) X線による確定診断は隆起型では18病変中15病変 (83.3%) が可能であり, 陥凹型では60病変中39病変 (65.0%) であり, うちCA1群では9病変中3病変 (33.3%), CA2群では6病変中6病変 (100%), NC群では22病変中12病変 (54.5%), UB群では23病変中18病変 (78.3%) であった. CA1群では接合部に接する瘢痕のない癌の診断が不良で, 空気量を多くして噴門部の粘膜ひだを伸展し, 噴門が開いた状態で撮影することにより診断能が向上できた. また, NC群およびUB群では前壁にある早期癌の診断率が低く, 腹臥位二重造影を加えることにより診断率が向上した.