- 著者
-
浜田 千晴
宇野 彰
- 出版者
- 日本音声言語医学会
- 雑誌
- 音声言語医学 (ISSN:00302813)
- 巻号頁・発行日
- vol.62, no.2, pp.156-164, 2021 (Released:2021-05-19)
- 参考文献数
- 39
- 被引用文献数
-
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小学1年生173名を対象に,ひらがな特殊表記の音読および書字の習得度とそれらに影響する認知能力を検討した.刺激は促音,拗音,長音,撥音の各表記を含む単語(特殊表記単語)と非語ならびに清音,濁音,拗音,撥音のかな1モーラ表記文字とした.典型発達児の音読において,拗音表記文字では頻度効果が認められ,単語では促音および拗音表記の正答率は長音および撥音表記に比べて有意に低かった.また,書字において,単語では促音表記の正答率が最も低く,次いで,拗音と長音表記は撥音表記に比べて有意に低かった.重回帰分析の結果,単語音読には単語逆唱と図形模写と語彙,単語書字には特殊表記単語の音読成績と非語復唱と図形直後再生が有意な予測変数として示された.小学1年生における特殊表記単語の音読には音韻処理能力,視覚認知能力,語彙力が影響し,書字には音読力の影響が示唆された.