著者
浜田 幸宏 赤瀬 朋秀 田代 眞一 佐川 賢一 島田 慈彦
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.645-650, 2003-05-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

最近, 使用量が急増している大建中湯エキス顆粒の使用実態を北里大学病院において6ヵ月間にわたり調査した。またその調査から剤形に関する問題点が浮かび上がったので大規模病院8施設において実際に服用実態を把握している看護師にアンケート調査を行った。大建中湯エキス顆粒は, 北里大学病院において, 主に婦人科および外科から処方されており, いずれも手術後が多かった。こうした患者への投薬は経管など看護師の手で行われていたことから大建中湯エキス顆粒を与薬する際に生ずる問題点を抽出する目的で行ったアンケート調査の結果, 与薬した患者からの苦情のうち8割以上は味や剤形に関する指摘であった。今回の調査において,臨床現場においてエキス顆粒という剤形の使い勝手のよくない事が明らかとなった。このことは粉砕・溶解など看護師の与薬業務に負担になっている可能性が示唆された。特に, 嚥下能力の低下した患者に投与する際にはさらに一歩すすんだ改良が必要であり, 煎剤を個別包装したスティック入り液状製剤のように, 使用性の優れた新しい漢方製剤が必要であると考えられた。