著者
浜田 文雅
出版者
環太平洋産業連関分析学会
雑誌
産業連関 (ISSN:13419803)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1-2, pp.39-52, 2010-06-30 (Released:2015-03-28)
参考文献数
8

この小論は,日本のマクロ経済の景気循環の特徴を単純化して補足することを主眼としたマクロ計量経済モデルを構築することを主な目的としている.今 回提示するモデルは,本来の目的からすればあまりに単純であるが,モデル開発の方向を示す一つのプロトタイプになるのではないかと考えている.このモデル の特定化においては,(1)就業機会を失う危険確率の指標として,失業率を取り上げ,(2)経済活動を活性化したり沈滞化したりする地球規模の外生要因と して太陽黒点相対数を導入し,(3)失業率の決定メカニズムとして労働と代替関係にある資本設備ストック,労働供給源としての労働力人口および総需要の効果を陽表的に導入している.マクロ計量経済モデルが政策シミュレーションや予測に使われる場合の必要条件は,そのモデルが現実のマクロ経済の変動をどの程度まで説明できるかが明示できることである.このモデルは,最終テストの結果を主要なマクロ変量についてグラフによって明示する.その結果を踏まえて,2015年までの予測および2007年またはそれ以前を起点とする政策シミュレーションの結果を明示する.そこでは政府赤字累積残高およびその対GDP比率の予測結果も含まれている.