著者
浜田 辰夫
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
藥學雜誌 (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.125, no.1, pp.1-16, 2005-01-01
参考文献数
71
被引用文献数
3

筆者が学部学生で4年生の卒業実習として北海道大学医学部薬学科の薬品製造学講座に配属されたのは1959年で, 当時は故伴義雄先生が教授で北大薬学部の基礎作りや講座の運営のみならず, 国際学会などで, 世界を股に駆けてのご活躍でした. 幸か不幸か, われわれ新入者は自分で仕事を切り開くしかなく, 苦労の連続でした. しかし, その過程で実験の面白さを体験でき, 研究計画立案, 反応デザインなど化学をより正確にとらえ, 実行する訓練ができたと思います. 当時, 数学と物理が得意だった筆者は将来の計画をどうしようかと迷っていましたが, 物を作る喜び, 自分で計画を立て, 実行する楽しさに将来を決断したことを覚えております. 教育の効率から4年次の卒業研究を危ぶむ声も聞かれますが, 筆者の体験から言わせていただければ, できるだけ早く自分で研究を進める訓練をするほうが効率がいいと思いますので, ぜひ卒業研究は続けてほしいと思います.