著者
浦城 晋一 石田 正昭 Uraki Shin'ichi Ishida Masaaki
出版者
三重大学農学部
雑誌
三重大学農学部学術報告 (ISSN:04624408)
巻号頁・発行日
no.67, pp.p31-55, 1983-12

農業基本法が制定されて以来,一連の構造政策が試みられたが,その現場である市町村段階においては「構造政策の受入れと農業事情のバリエーションの増大が著るしい。このバリエーションの増大の実態,その中に市町村の白治行財政のあり方がどのように絡みこんでいるか,さらに市町村・農協・農民グループの連携努力がどのように絡みこんでいるか,に関する一連の事態関連を「数量化の理論・第III類」の解析手法をもって解析した。その結果,バリエーションを展開させるソーティング・マシン-市町村の類別の作用カの結合機構-がえられた。それは1水田整備を中心とした構造政策の受入れの容易性,2他の政策との関連における市町村当局の農政姿勢,3市町村内における産地形成努力と構造政策との関連,4農業的開発前線の自然的環境との関連における持たれかた,5農業の内発的展開の担い手としてのファーマー的農家の析出方向, を導く作用カを体現している5個の相互に独立した仕訳作用カの連結器としてのソーティング・マシンであった。この仕訳メカニズムをめぐって,農業構造政策における「つぎ水構造」と「ねじれ現象」が観察された。