著者
青松 圭一 中尾 雄三 浦瀬 文明
出版者
日本神経眼科学会
雑誌
神経眼科 (ISSN:02897024)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.326-330, 2014

症例は近医からの紹介で51歳女性の保育士.視力低下,眼痛,羞明の症状出現の前に,手足の関節痛,頬部の発赤の伝染性紅斑を疑わせる症状があった.両側視神経乳頭浮腫を認め,眼窩部MRIではSTIR 法にて両側視神経の腫大と高輝度信号を認めた.血清学的検査では抗ヒトパルボウイルスB19IgM抗体価の上昇が確認された.治療はステロイドパルス療法を1クール施行.治療前の視力右眼(0.7),左眼(0.3),中心フリッカー値両眼13Hzは,治療後視力右眼(1.2),左眼(1.2),中心フリッカー値右眼37Hz,左眼35Hzまで回復した.発症約3か月後には抗ヒトパルボウイルスB19IgM 抗体価の低下を確認できた.視神経症(炎)の原因疾患の一つとしてヒトパルボウイルスB19感染症も鑑別にあげるべきと考える.