著者
森下 慎一郎 瀬戸川 啓 中原 健次 太田 徹 眞渕 敏 海田 勝仁 小川 啓恭 児玉 典彦 道免 和久
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.122-123, 2011-04-20

【目的】造血幹細胞移植患者に対し無菌室内で運動療法を実施し,その効果と安全性を検討することである。【対象および方法】造血幹細胞移植を受けた患者30名(運動療法群15名,コントロール群15名)を対象とした。造血幹細胞生着の有無,生着までの日数,感染症,移植前後の身体機能を評価した。【結果】運動療法群,コントロール群共に造血幹細胞は全例生着し感染症も認めなかった。身体機能は移植前と比べると移植後,筋力,体重,6分間歩行は低下したものの,歩数は有意差がなく,逆に15名中6名は増大した。【結語】免疫機能が低下している期間中でも感染予防を徹底すれば,安全に運動療法を実施できた。しかしながら,移植前と比べると移植後は身体機能は低下していた。本研究では,運動療法群のみ身体機能評価を行っており,今後,運動療法の効果を検証するには無作為化比較試験の実施が必要であると考えられる。