著者
海老澤 直美
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.73, no.8, pp.311, 2023-08-01 (Released:2023-08-01)

サブスクリプションサービスは一般的に,定額制でさまざまなコンテンツやサービスを利用できる仕組みとされ,これまでは主に本,音楽,映画などのデジタルコンテンツに関連して語られることが多くありました。しかし,最近ではソフトウェアやクラウドサービスなど,さまざまな分野で利用されています。特にコロナ禍による自宅時間の増加や外出制限の影響で,サブスクリプションサービスの利用は加速しました。所有から利用へのライフスタイルの変化が広まり,個人だけでなく企業や図書館,教育機関などでも同様の変化が起きています。サブスクリプションサービスは社会への影響も大きいと言えます。利用者は,低コストで多様なコンテンツやサービスを利用できるようになりました。一方,提供側は,定期的な収益の安定化や顧客との関係構築の機会を得ることができます。本特集では,「サブスクリプションサービスが社会に与えた影響」と題し,サブスクリプションサービスの概要を解説するとともに図書館や教育機関における具体的な事例も紹介します。まず谷守正行氏(専修大学)に,サブスクリプションサービスの概要をわかりやすく解説していただくとともに,購買行動の変化についても説明いただきました。図書館においては,学術雑誌の転換契約への移行とオープンアクセスの取り組みが重要なテーマとなっています。これについては,平田義郎氏,山崎裕子氏,金子芙弥氏,野中真美氏(大学図書館コンソーシアム連合(JUSTICE))に,JUSTICEにおけるオープンアクセスの取り組みとあわせて詳説いただきました。また,河井良太氏(東大阪市教育委員会)には,公共図書館における電子図書館サービスの導入経過と活用事例などについて紹介いただきました。教育機関では,情報基盤の変遷が進んでいます。この変化については,永田正樹氏(静岡大学)に,クラウドコンピューティングの導入事例を通じて具体的に解説いただきました。さらに,牛頭哲宏氏(神戸常盤大学),髙松邦彦氏(東京工業大学),酒井智行氏(株式会社KEI)には,大学におけるmanaba(学習支援システム)の活用事例とその教育効果などについて紹介いただきました。本特集が,サブスクリプションサービスや図書館,教育機関に関心を持つ読者にとって有益な情報となることを願っています。(会誌担当編集委員:海老澤直美(主査),青野正太,今満亨崇,長谷川幸代)
著者
海老澤 直美
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.10, pp.369, 2022-10-01 (Released:2022-10-01)

2022年10月号の特集は,「統計データの活用」と題してお届けします。世の中の変化を知り,今後の展開を予測するためにまず参照すべきデータとして公的統計データがあり,国内においては総務省の「国勢調査」や同省と経済産業省がまとめる「経済センサス」がよく知られています。これらのデータは公的統計の「総合窓口e-Stat」等で検索できるようになっており,ビジネス,行政政策,研究等の様々な分野で役立つ情報です。データの偏りが比較的少なく,継続性もある重要な情報源です。その一方で,従来の公的統計データは集計・公表に時間がかかり即時性が必要とされる政策,例えば今起こっている新型コロナウイルス禍への対応等には適さないことが明らかとなっています。この即時性の観点から注目されているのがオルタナティブデータとも言われる民間データです。カード決済履歴やスマートフォン位置情報等のリアルタイムの民間ビッグデータが政策現場等に急速に普及しています。本特集では統計データを用いた調査・研究や,レファレンス事例等に触れ,統計データの種類やアクセス先等をご案内するとともに,公的統計データ,民間データ両者の長所・短所と,統計データのより良い活用方法等をご紹介いたします。まず山澤成康氏(跡見学園女子大学)から総論として,公的統計の概要とそれを活用するための統計学をご説明いただくと共に,新型コロナウイルス感染拡大以降,重要になっているオルタナティブデータ(民間データ)についてもご解説いただきました。つづいて倉家洋介氏(国立国会図書館)からは,公的統計のみではなく民間統計等の検索窓口としても活用できる,国立国会図書館が提供している「リサーチ・ナビ」を利用した統計データの調べ方をご解説いただきました。さらに公的統計データ,オルタナティブデータの活用事例と海外統計データの調べ方について3名の方々にご解説いただきました。伊藤伸介氏(中央大学)からは,公的統計データの利用方法やそれらを活用した調査研究の成果についてご解説いただきました。水門善之氏(野村證券株式会社)からは,オルタナティブデータを用いた経済活動分析についてご解説いただきました。最後に上野佳恵氏(有限会社インフォナビ)からは,海外統計データの効率的な調べ方についてご説明いただきました。本特集が情報やデータを扱うインフォプロの業務の参考になれば幸いです。(会誌編集担当委員:海老澤直美(主査),安達修介,今満亨崇,野村紀匡)
著者
村田 龍太郎 海老澤 直美
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.226-231, 2021-05-01 (Released:2021-05-01)

日本原子力研究開発機構(JAEA)では,JAEAの研究者が成果発表や特許申請の決裁手続きを電子的に行う際に入力した情報をベースとして,研究開発成果情報を管理し,機関リポジトリを通じて発信を行っている。このうち,掲載資料や発表会議,研究者といった情報は名寄せし,典拠コントロールを行うことで,効率的かつ効果的な研究開発成果情報の管理・発信を実現している。本稿では,このうち研究者に関する情報にスポットを当て,その典拠コントロールを中心に紹介する。さらに,researchmapを通じた研究者情報の発信や,今後の課題と展望について述べる。
著者
海老澤 直美
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.71, no.3, pp.93, 2021

<p>2021年3月号の特集は「色彩による情報提供」です。</p><p>数多あふれる情報から欲しい情報を瞬時に得ようとする時,まずは目に入る情報のうち文字ではなく色で判断していることが多いのではないでしょうか。例えば,トイレの入口のマークで男性が青,女性が赤という色がもし逆だとしたら間違える確率は高くなるのではないでしょうか。図書館などの現場においても,利用者に情報を的確にわかりやすく提供するにあたり,案内表示,オンライン蔵書目録のインターフェース,什器類の空間デザインなど,あらゆる所で色彩が関係しています。</p><p>また,プレゼン資料やデータ分析における可視化など情報を視覚的に分かりやすく伝える手段としても色彩は用いられています。さらに,色覚バリアフリーという言葉があるように,色の識別に困難を持つ人もおり,色使いには配慮が必要です。</p><p>そこで今回の特集では,情報提供を的確に行うために,色彩がどのように活用できるか,基礎知識や注意点を解説するとともに活用事例を紹介します。</p><p>まず初めに,篠田博之氏(立命館大学)からは,色とは何か,そのメカニズムなど色彩の基礎知識を解説いただき,さらに応用技術やアイディアを紹介いただきました。続いて,日髙杏子氏(芝浦工業大学)からは,色彩という情報のコミュニケーションを取るために編み出された,色の表現方法のひとつである色彩を体系的にした表色系について解説していただきました。</p><p>そして,山本早里氏(筑波大学)からは,実際に手掛けられた教育施設の建築物・インテリアの色彩計画の事例を紹介いただき,色彩の持つ効果と重要性を解説いただきました。三浦まゆみ氏(インリビングカラー)からは,資料作成における誰もがわかりやすく見やすいユニバーサルデザインの基本を解説いただき,対象者や目的別の資料作りを効率よく作成する色使いのポイントを具体的に紹介いただきました。最後に,伊賀公一氏(NPO法人カラーユニバーサルデザイン機構)からは,色識別に困難を持つ人は色がどう見えるのか。そして,色で情報を目的どおりに伝えるためにはどのようにすべきかを当事者としての視点からも解説いただきました。</p><p>本特集が,読者の皆様のお仕事などにおいて,色彩の重要性を把握し,色彩を活用して情報を的確に伝える一助となれば幸いです。</p><p>(会誌編集担当委員:海老澤直美(主査),南山泰之,南雲修司,長谷川幸代)</p>
著者
海老澤 直美
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.71, no.3, pp.93, 2021-03-01 (Released:2021-03-01)

2021年3月号の特集は「色彩による情報提供」です。数多あふれる情報から欲しい情報を瞬時に得ようとする時,まずは目に入る情報のうち文字ではなく色で判断していることが多いのではないでしょうか。例えば,トイレの入口のマークで男性が青,女性が赤という色がもし逆だとしたら間違える確率は高くなるのではないでしょうか。図書館などの現場においても,利用者に情報を的確にわかりやすく提供するにあたり,案内表示,オンライン蔵書目録のインターフェース,什器類の空間デザインなど,あらゆる所で色彩が関係しています。また,プレゼン資料やデータ分析における可視化など情報を視覚的に分かりやすく伝える手段としても色彩は用いられています。さらに,色覚バリアフリーという言葉があるように,色の識別に困難を持つ人もおり,色使いには配慮が必要です。そこで今回の特集では,情報提供を的確に行うために,色彩がどのように活用できるか,基礎知識や注意点を解説するとともに活用事例を紹介します。まず初めに,篠田博之氏(立命館大学)からは,色とは何か,そのメカニズムなど色彩の基礎知識を解説いただき,さらに応用技術やアイディアを紹介いただきました。続いて,日髙杏子氏(芝浦工業大学)からは,色彩という情報のコミュニケーションを取るために編み出された,色の表現方法のひとつである色彩を体系的にした表色系について解説していただきました。そして,山本早里氏(筑波大学)からは,実際に手掛けられた教育施設の建築物・インテリアの色彩計画の事例を紹介いただき,色彩の持つ効果と重要性を解説いただきました。三浦まゆみ氏(インリビングカラー)からは,資料作成における誰もがわかりやすく見やすいユニバーサルデザインの基本を解説いただき,対象者や目的別の資料作りを効率よく作成する色使いのポイントを具体的に紹介いただきました。最後に,伊賀公一氏(NPO法人カラーユニバーサルデザイン機構)からは,色識別に困難を持つ人は色がどう見えるのか。そして,色で情報を目的どおりに伝えるためにはどのようにすべきかを当事者としての視点からも解説いただきました。本特集が,読者の皆様のお仕事などにおいて,色彩の重要性を把握し,色彩を活用して情報を的確に伝える一助となれば幸いです。(会誌編集担当委員:海老澤直美(主査),南山泰之,南雲修司,長谷川幸代)