著者
深尾 正之 斉藤 愿治 小村 浩夫 神藤 正士
出版者
静岡大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1991

この研究は、通常の雪かきモデルの成立するピンチプラズマと異なり、高速電子成分を含む非平衡プラズマを生成することが目的である。その方法として、放電電圧印加後にガスを導入して点孤させる爆燃放電を採用した。通常のガスパフZピンチプラズマ型の構造を持つ放電電極を用い、電極間に並列に接続したインダクタンスに電流を流して、予め電極に電圧を印加した後に、ガスを導入することにより、爆燃モ-ドとした。これにより、通常のガスパフZピンチ放電との比較を行なうことができた。電源には、3.75μFの低インダクタンス高速キャパシタ-及びギャップスイッチを用い、20kVまで印加した。非平衡プラズマでは、数keVの電子を多数生成する必要があり、印加電圧を低く抑えた。X線発生量の時間依存計測は、表面障壁型ダイオ-ド(SBD)とアルミニウム・フィルタ-を組み合わせて行った。X線放出量が多く、SBD出力が飽和するのを避けるために、直径1mmのピンホ-ルで絞り、かつプラズマから80cmの距離をおいて測定した。これまで、X線収量の放電電圧依存性を測定してきた。従来型Zピンチプラズマでは、電圧の上昇とともに、X線量が急上昇するのに対し、爆燃放電では、X線発生量が充電電圧に余り依存しないという特徴のある依存性が明らかになったが、X線収量の絶対値は、同程度ないし、後者の方が少ないという結果しか得られていない。X線放出の空間分布は、ポラロイドフィルムを用いたピンホ-ルカメラで測定した。放電条件により、プラズマ及び電極から放出されることが判った。並行して、X線スペクトルの測定を目的とする、プロポ-ショナルガスカウンタを試作してきた。これまでに、^<55>Feからの5keV X線にたいしてFWHM15%程度の性能を得ているが、信頼度・再現性の改善がなお必要である。