著者
里見 知昭 酒匂 一成 安川 郁夫 深川 良一
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集C (ISSN:1880604X)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.564-578, 2009
被引用文献数
1

本論文では,京都市の重要文化財後背斜面を対象に,現地計測結果(10分間雨量, 間隙水圧, 地表面変位)を用いて降雨による斜面の崩壊危険度をリアルタイムに評価することを目的としている.具体的には多変量解析手法の一つである主成分分析を適用した評価方法を提案した.分析結果に基づく有効な雨量指標の組み合わせ,主成分得点を評価指標とした際の避難勧告・解除等のタイミングの基準設定の有効性を検討するため,3ケースの計測結果を用いて斜面の崩壊危険度を評価した.その結果,主成分分析を使うことで多変量データ間の関係を効果的に表現でき,避難勧告・解除等のタイミングがより具体的に設定できることが分かった.さらに,人工降雨装置を用いた室内土槽崩壊試験を行い,本手法の実効性を示した.