著者
南出 純二 小泉 博義 青山 法夫 小沢 幸弘 徳永 誠 深野 史靖 森脇 良太
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.27, no.11, pp.2384-2390, 1994-11-01
被引用文献数
7

食道癌集学的治療における術前 Cisplatin, 5-Fluorouracil 併用療法 (以下, CDDP+5FU 療法と略記) の安全性, 直接効果について検討した. 対象は1991年9月から1993年8月までに手術した食道癌症例85例中, 術前 CDDP+5FU 療法を施行した32例 である. Cisplatin 80mg/m^2(day 1), 5-Fluorouracil 800mg/m^2(day 1∿4) で3週間を1コースとし, 不変または進行例には手術を行い, 有効例には2コース目を施行した. 副作用は軽度であり手術日程や術後経過に影響を及ぼさなかった. 画像診断では有効11例, 不変17例, 進行4例であった. 病理組織学的診断では軽度の効果以上が18例 (56%) となった. 7例 (28%) のリンパ節に軽度の効果以上の効果がみられた. 術前 CDDP+5FU 療法は副作用が少なく, 術後経過に悪影響を及ぼさず, リンパ節に対する効果も認められた.