著者
淵澤 定克 白寄 篤
出版者
宇都宮大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

チューブハイドロフォーミングで加工される管材の加工硬化特性を解明するために,アルミニウム合金管,銅管,鋼管,チタン管を供試材として,一軸引張試験および液圧バルジ試験による材料試験を行った.これらの試験から明らかになったことおよび再確認したことの概略は,次の3点である.(1).アルミニウム合金管,銅管,鋼管,チタン管はn乗硬化則で加工硬化特性を表現することができる.(2).ひずみが小さい範囲と大きい範囲とで,加工硬化特性は異なる.(3).アルミニウム合金管,銅管,鋼管には,加工硬化特性の応力比依存性はほとんどないようだが,チタン管については,応力比の影響が見られる.チューブハイドロフォーミングでは,管材に内圧と押込みを負荷するが,押込みに比べて内圧の割合が高い場合,管材は破裂する.逆に,内圧の割合が低い場合,管材は座屈してつぶれてしまう.実験による検討からすると,(1).内圧と軸押込みを一定の比率で管材に負荷する直線負荷経路,または,(2).管材に,まず,内圧のみを負荷して張り出させ,内圧の大きさが設定した内圧(保持内圧)に達したら,その内圧を保持しながら押込みを負荷する折線負荷経路の2種類の負荷経路の中で最適な負荷経路を検討することが適当であることが分かった.実験結果を踏まえて型バルジ加工のFEMシミュレーションモデルを作成した.また,成形型を作製し,実験を行い,FEMシミュレーションの結果と比較した.成形後の管材の肉厚分布に及ぼす成形金型と管材との間の潤滑の影響について,FEMシミュレーションで良く再現できることが分かった.FEMシミュレーションによる検討では,今後,(1).管材の変形挙動を十分に再現することのできる適切な入力データ設定方法の確立,(2).管材の不整変形(座屈,めり込み)発生条件と破裂条件の解明が必要であることを確認した.