著者
石原 秀平 清 明広 楠田 理一 三柴 徹 中本 光則 村田 修 熊井 英水
出版者
水産増殖談話会
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.79-88, 2020 (Released:2020-12-22)

わが国において唯一,動物用医薬品として製造承認を得ている魚類および甲殻類の麻酔剤であるオイゲノール製剤の「FA100」を用い,近年普及しているワクチンの注射を想定して,マダイ,ブリ,カンパチ,シマアジ,イシダイおよびイシガキダイ稚魚を対象魚とし,「FA100」の麻酔効果と魚に対する安全性について検討した。その結果,供試した魚種や魚体重は異なるが,供試魚の安全性およびワクチン注射の作業時間などを考慮して100~200ppmの希釈が適正な麻酔濃度であることが分かった。ただし,カンパチで100gを超える場合には,麻酔から回復することなく死亡する供試魚が多くなる傾向が認められたことなどから,ワクチン注射の場合には,実際の作業現場にて,本研究を参考にし,事前に最適な麻酔濃度,麻酔時間を設定して行う必要がある。