著者
清岡 学
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.G4P2321-G4P2321, 2010

【目的】<BR>昨今の医療情勢を鑑みると、理学療法士に求められる専門性や社会性については、個人はさることながら高知県理学療法士会(以下、県士会)としても質の向上と改善策を打ち出してゆく必要性がある。そこで、県士会職能部において県士会会員の就業している施設の人事担当者を対象に、理学療法士に対する専門意識と就業状況を調査し、現状把握と課題の抽出を目的として実施した。<BR>【方法】<BR>県士会会員789名が勤務している161施設の人事担当者に対し、アンケート方式で調査を行った。<BR>【説明と同意】<BR>アンケートは県士会職能部で作成し、理事会にて倫理的問題が無いか精査して実施した。配布にあたっては目的を明示するとともに、可能な範囲での無記名回答とし、催促は行わないことで実施した。実施後の苦情・クレームは無かった。<BR>【結果】<BR>161施設中103施設から返送があり、回収率は63.9%であった。<BR>会員の分布は、103施設789名中、485名が県の中央区域に就業している。求人数については平成19年度161名から平成21年度112名と減少している。就業体制で日曜・祝日勤務を実施している施設は16施設10%と少なく、73施設45%は未実施である。休日出勤の手当てについては80%の施設で支給されていない。<BR> 人事担当者の考える、理学療法士に不足している専門意識としては、課題解決能力、協調性、多職種との連携、マネージメント能力等が挙げられ、強く改善を求める意見が大半である。自由記載でも理学療法士の意識改善の要望が多かった。<BR>【考察】<BR>今回の調査の結果、県内の理学療法士の分布には地域格差があるにもかかわらず、求人数の減少傾向が現れ始めている。県士会としては理学療法士の必要性について、より積極的に啓蒙するとともに職域拡大を真剣に考えなくてはならない。また、日曜・祝日出勤についても実施施設は少ないが、今後拡大の可能性は高い。施設の状況に応じた対応が重要であろう。<BR> 人事担当者の理学療法士に対する専門意識は総じて評価が低い。個人的な要因も大きく県士会としての対応は難しいが、新人教育のあり方を含め、対策は必須の状況である。<BR>【理学療法学研究としての意義】<BR>理学療法士の需給バランスが崩れつつある中、県士会としての対応を真剣に考える機会となった。また、信頼される専門職となるべく教育・育成体制の構築が急務となった事が明白となった。今後の理学療法士の発展を左右する非常に重い課題として受け止めた。