著者
清水 亨
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.49, no.7, pp.809-821, 1960-10-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
20

続発性腦室出血の臨床症状と予後は一様でない.これを知るため著者は過去10年間に当教室で経驗した続発性腦室出血の47剖檢例につき臨床病理学的研究を行ない,出血部位と腦室穿破の機序,臨床症状と経過の二つの観点から病型の分類を試みた.腦底部動脈瘤破裂に起因するものは基底核の前方または前下側方の白質,若年性腦出血,血液疾患,酒精中毒に起因するものは大腦半球後半部の白質を傷害し,運動麻痺その他巣症状は不明瞭で原発性腦室出血に類似する.高血圧症に起因するものは基底核,内包に出血巣を形成し,続発性腦室出血の定型的病像をしめすが,腦室擴張高度な症例は兩側性の症状をしめし,予後も惡い.腦室擴張を認めない症例は巣症状が明瞭で腦実質内出血に類似する.すなわち,本症の病像は基礎疾患による腦傷害部位の相違と腦室擴張の程度すなわち腦室内への血液流入量により,かなりの相違を生ずると思われる.