著者
鹿島 長次 原田 和雄 加藤 明良 清水 政男 表 美守
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1987, no.7, pp.1194-1198, 1987-07-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
10
被引用文献数
2

オルトおよびパラ位にヒドロキシ勉基,メトキシル基,メチル基を有するN-フェニルピリミジン-2(1H)-チオン類の金属水素錯化合物(水素化アルミニウムリチウム,水素化ホウ素リチウム,水素化ホウ素ナトリウム)による還元について検討した。2種のジヒドロピリミジンおよびテトラヒドロピリミジンの生成比が大きく置換基と金属水素錯化合物に依存することがわかった。とくにオルト置換基がヒドロキシル基とメトキシル基の場合,水素化アルミニウムリチウムおよび水素化ホウ素リチウムを用いたところ,3,6-ジヒドロ体が位置選択的に得られた。この高い3,6-ジヒドロ体への選択性は,まず,オルト置換基が金属ヒドリドと反応してフェノキシドあるいは配位結合を生成したのちに,ピリミジンチオンの6-位に分子内からヒドリドが優先して攻撃しているためだと思われる。