- 著者
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日高 豊彦
日高 亨彦
中村 有伽
清水 英城
- 出版者
- 公益社団法人 日本口腔インプラント学会
- 雑誌
- 日本口腔インプラント学会誌 (ISSN:09146695)
- 巻号頁・発行日
- vol.32, no.4, pp.276-284, 2019-12-31 (Released:2020-01-30)
- 参考文献数
- 46
審美領域においてインプラント治療が患者の満足を得られるためには,歯冠修復と同様に辺縁歯肉と歯間乳頭の位置,およびその長期的安定が求められる.これらを確立するためにはインプラント埋入部位に必要な骨(硬組織)と軟組織を確保することが重要である.生体には固有差があるが,一般的にはインプラントとアバットメントが同径の場合インプラントの頰舌(唇口蓋)側2mm以上,プラットフォーム・スイッチングの場合1.5mm以上の骨を確保し,どちらのデザインのものでもインプラントと天然歯間に1.5mm以上,インプラントとインプラント間に3mm以上の骨を確保すべきであろう.インプラント周囲の軟組織の高さは4mm程度必要と思われるため,インプラント埋入の深さはインプラントとアバットメントが同径の場合辺縁歯肉より3mm程度根尖側方向,プラットフォーム・スイッチングの場合4mm程度根尖側方向に埋入すべきではないかと多くの文献から示唆される.頰舌(唇口蓋)的軟組織の厚みは2mm程度必要だと思われる.上部構造の形態は頰舌(唇口蓋)軟組織の厚みを確保するため,歯肉縁下で凹状に,隣接形態は歯の修復と同様にハーフ・ポンティック・テクニックが応用できる.組織が不足する場合はその造成を行わなければならないが,審美性の長期予後を考えると骨の造成には遅延吸収性または,非吸収性の骨補塡材を用い,軟組織に関しては自家移植による造成が長く維持される.