著者
中川 雅晴
出版者
公益社団法人 日本口腔インプラント学会
雑誌
日本口腔インプラント学会誌 (ISSN:09146695)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.156-163, 2017-09-30 (Released:2017-11-05)
参考文献数
18

チタンは優れた耐食性を有するが,酸性フッ素環境では容易に腐食することが知られている.pHが低下しているプラーク内面や歯肉縁下などにフッ素含有歯磨剤が投入されると,一時的に酸性フッ素環境となりチタンの腐食が生じる可能性がある.一時的な腐食が長期間累積すると,腐食孔や腐食組織に発展する.腐食によって表面が粗糙化するとプラークや口腔内細菌の付着が助長され,インプラント周囲炎等の発症のリスクになるおそれがある.したがってチタンインプラントが埋入されている場合,フッ素含有歯磨剤の使用を控えるか,フッ素濃度の濃い歯磨剤がインプラント体に触れないように,インプラント埋入部以外の場所からブラッシングを開始することを推奨する.
著者
平野 浩彦
出版者
公益社団法人 日本口腔インプラント学会
雑誌
日本口腔インプラント学会誌 (ISSN:09146695)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.235-244, 2017-12-31 (Released:2018-02-15)
参考文献数
7

日本の認知症の患者数は462万人との報告がなされ,今後もその数は増加することが推定されている.そういったなか,平成27年1月に国家戦略として7つの柱からなる認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)が発表された.二つ目の柱である「認知症の容態に応じた適時・適切な医療・介護等の提供」に,歯科医師への具体的なアクションとして「認知症対応力向上研修」の実施が提示された.さらに今後も「認知症高齢者等にやさしい地域づくり」に向け,認知症の人が住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けるために,歯科医師としての役割が求められることになろう.
著者
葛谷 雅文
出版者
公益社団法人 日本口腔インプラント学会
雑誌
日本口腔インプラント学会誌 (ISSN:09146695)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.133-139, 2019-06-30 (Released:2019-08-10)
参考文献数
21

超高齢社会を迎えたわが国では,今後もなお高齢者が増加することが予測されている.今後いかに要介護状態の高齢者数の伸びを抑制し,健康寿命の延伸を図るかはわが国において喫緊の課題である.一つの視点はフレイルやサルコペニアの発生を予防することである.また,これらの病態には口腔機能との関連が強いことが最近の研究で明らかにされてきている.今後医科歯科問わず,日本全体で取り組むべき問題である.
著者
眞木 吉信
出版者
公益社団法人 日本口腔インプラント学会
雑誌
日本口腔インプラント学会誌 (ISSN:09146695)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.174-181, 2017-09-30 (Released:2017-11-05)
参考文献数
39

フッ化物配合歯磨剤は成人や高齢者にも,う蝕予防効果をもたらすことは周知の事実である.近年,一部の基礎実験研究の結果をもとに,フッ化物配合歯磨剤がインプラント周囲炎のリスクになる可能性が指摘されている.日本口腔衛生学会ではフッ化物配合歯磨剤がインプラント周囲炎のリスクになるか評価することを目的として,ヒトを対象とした疫学研究および5つの観点からの基礎研究を文献データベースより収集した.その結果,実際にヒトを対象とした疫学研究は存在しなかった.さらに,基礎研究の結果から,1)pHが4.7以下の酸性状態が継続した場合,フッ化物配合歯磨剤によりチタンが侵襲されうるが,中性,アルカリ性,または弱酸性のフッ化物配合歯磨剤を利用しても,侵襲の可能性はきわめて低い,2)歯磨剤を利用しないブラッシングでもチタン表面が侵襲され,歯磨剤を利用したブラッシングでもフッ化物の有無による侵襲の程度に差はない,3)チタン表面の侵襲の有無で,細菌の付着に差はなく,フッ化物の利用により細菌の付着が抑制された報告も存在する,4)実際の口腔内では唾液の希釈作用でフッ化物イオン濃度は低下するため侵襲の可能性は低い,5)フッ化物配合歯磨剤の利用により細菌の酸産生能が抑制されるため,チタンが侵襲されるpHにはなりにくいことが分かった.以上の結果をまとめると,チタンインプラント利用者にフッ化物配合歯磨剤の利用を中止する利益はなく,中止によるう蝕リスクの増加が懸念される.
著者
田村 暢章 竹島 浩 谷口 展子 田草川 徹 山﨑 大輔 原口 茂樹 安田 治男 嶋田 淳
出版者
公益社団法人 日本口腔インプラント学会
雑誌
日本口腔インプラント学会誌 (ISSN:09146695)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.471-476, 2007-09-30 (Released:2014-04-10)
参考文献数
14

We report four cases whose implant fixtures were uncertainly placed and inserted into the maxillary sinus.The patients consisted of 2 males and 2 females whose ages ranged from 46 to 56 years. All cases were referred to us from private dental clinics. There were three cases of accidental insertion in the maxillary sinus on the left side and one case on the right side, but all of them had no symptoms at the first visit. All implant fixtures were surgically removed without any episodes, although one case was complicated with chronic maxillary sinusitis. It is considered that it is necessary to minimize invasion and time to remove the implant fixture in the maxillary sinus, and especially important to inspire the patient with confidence.
著者
深澤 翔太 田邉 憲昌 高藤 恭子 米澤 悠 原 総一朗 夏堀 礼二 千葉 豊和 近藤 尚知
出版者
公益社団法人 日本口腔インプラント学会
雑誌
日本口腔インプラント学会誌 (ISSN:09146695)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.176-183, 2020-06-30 (Released:2020-08-15)
参考文献数
25

本研究の目的は,2種の口腔内スキャナーと,1種の歯科技工用スキャナーを使用して,多数歯欠損を想定したインプラントボールアバットメント間における距離の真度,精度の比較検討を行い,口腔内スキャナーの精確さを評価することである.下顎インプラント実習用模型にインプラント体を4本埋入した.舌側部に校正用基準球を設置し,本研究のマスターモデルとした.マスターモデルのインプラント体に,ボールアバットメントを装着後,接触式三次元座標測定機による三次元形状計測を行った.続いて,2種の口腔内スキャナー(3M True Definition Scanner:TDS,3Shape Trios3:TR3),1種の歯科技工用スキャナー(KaVo ARCTICA Auto Scan:KA)を用いて,三次元形状データを採得した.得られた三次元形状データを基に,立体画像解析用ソフトウェアで,4個のボールアバットメント間の距離に関して真度と精度の比較解析を行った.ボールアバットメント間の測定部位における真度,精度に関して口腔内スキャナー群は,歯科技工用スキャナーよりも誤差が大きかった.口腔内スキャナー群は,ボールアバットメント間の距離が増加すると誤差が増加する傾向を示した.歯科技工用スキャナーはボールアバットメント間の距離の増減にかかわらず,真度・精度ともに安定していた.現状の口腔内スキャナーによる光学印象法は,真度,精度の観点から多数歯欠損では適用は困難であり,少数歯欠損における口腔インプラント治療への臨床応用が可能であることが示唆された.
著者
松井 孝道
出版者
公益社団法人 日本口腔インプラント学会
雑誌
日本口腔インプラント学会誌 (ISSN:09146695)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.164-173, 2017-09-30 (Released:2017-11-05)
参考文献数
16

骨と結合し軟組織とも生体親和性の高いチタンは耐食性にも優れ,現在インプラントに使用される主な材料となっている.しかし,口腔内である一定の条件下におかれると腐食するとの報告がある.チタン腐食の原因となる因子としてチタン表面におけるpH,溶存酸素濃度,フッ素の存在などが挙げられる.インプラントの周囲環境となる口腔内は種々の細菌による有機酸,pHの低い食品・飲料物,炎症に伴うpH の低下,深いインプラント周囲ポケット内における溶存酸素濃度の低下,フッ素入り歯磨剤の使用など過酷な環境下にある.臨床においても,インプラント周囲肉芽組織からのチタン元素の検出やチタン表面において腐食孔が多数観察されている.チタンの組織内溶出はインプラント周囲炎において骨吸収を加速させるという報告もあり,さらには粘膜貫通部の鏡面研磨面における多数の腐食孔の形成はインプラントのメインテナンスに不利となる.基礎研究において歯磨剤レベルでのフッ素のチタンに対する腐食の影響が指摘される中,臨床でもチタンの腐食が観察される以上,現時点ではその原因となりえるフッ素入り歯磨剤のインプラントへの使用はインプラントの長期安定を維持するうえで注意を要すると思われる.
著者
新井 嘉則
出版者
公益社団法人 日本口腔インプラント学会
雑誌
日本口腔インプラント学会誌 (ISSN:09146695)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.305-312, 2019-12-31 (Released:2020-01-30)
参考文献数
13

1990年代後半に歯科用CTは開発され,三次元画像診断を可能にした.現在では歯科用インプラントをはじめ,歯科医療には欠かせない画像診断装置となっている.また,多種多様な機種が開発され,さまざまな大きさのFOVやVoxel Sizeを選択することが可能となった.しかしながら,被曝線量は口内法エックス線撮影やパノラマエックス線撮影に比較して10倍程度の被曝があることからその適応には留意が必要である.ALARAの原則にしたがい,できるだけ低い被曝線量で診断目的を達成するための効率的な画像診断を実施する必要がある.本稿ではそれらの留意点と最新の撮影装置の動向を紹介する.
著者
飯田 吉郎
出版者
公益社団法人 日本口腔インプラント学会
雑誌
日本口腔インプラント学会誌 (ISSN:09146695)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.245-251, 2017-12-31 (Released:2018-02-15)
参考文献数
15

近年,上部構造装着後の,インプラント周囲炎に代表される生物学的合併症が数多く報告されるようになってきたが,インプラント周囲組織を長期的に健全な状態で維持するためには,上部構造の材質や形態などの補綴学的な要因が大きく関与していると考えられる.この稿ではインプラント上部構造の歯肉貫通部に焦点を当て,歯肉貫通部においてプラークリテンティブファクターとなりうる要素を排除していくための補綴物の条件を,歯肉貫通部の材質・歯肉貫通部の形態・上部構造の装着様式・複数歯における連結の必要性の有無について考察し,またそれを受け入れる生体側の条件も併せて考察していく.
著者
友竹 偉則 後藤 崇晴 石田 雄一 内藤 禎人 荒井 安希 清野 方子 渡邉 恵 市川 哲雄
出版者
公益社団法人 日本口腔インプラント学会
雑誌
日本口腔インプラント学会誌 (ISSN:09146695)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.309-319, 2018-12-31 (Released:2019-02-20)
参考文献数
23

顆粒が配合された歯磨剤では,その顆粒がインプラント周囲溝に侵入,残留することで,インプラント周囲組織の炎症を惹起する可能性が懸念される.そこでメインテナンス受診者において,歯磨剤の使用状況とインプラント周囲組織の状態を調査し,顆粒配合歯磨剤を使用した歯磨き試験を行い,インプラント周囲組織の炎症と顆粒の侵入に関して検討した.メインテナンス受診の55名,臼歯部に装着したスクリュー固定式の上部構造78装置を支持するインプラント145本を対象とした.上部構造周囲の歯垢付着とインプラント周囲粘膜の炎症の有無を評価した.顆粒配合歯磨剤の使用者では顆粒の残留を観察した.インプラント周囲粘膜の形態を計測した後,上部構造を再装着して顆粒配合歯磨剤を使用した歯磨き試験を行い,顆粒侵入の有無を確認した.観察調査と歯磨き試験から,周囲組織の炎症の有無とインプラント周囲粘膜の形態における顆粒の侵入の有無との関連について分析した.日常での顆粒配合歯磨剤の使用は19名で,6名14本のインプラントに顆粒が残留していたが,炎症の有無とは相関を認めなかった.顆粒配合歯磨剤を使用した歯磨き試験では55名中13名22本のインプラントで顆粒が侵入しており,炎症の有無と相関を認めなかった.本研究の結果から,歯磨剤に配合された顆粒がインプラント周囲溝に侵入して残留することと周囲粘膜の炎症との関連は少ないことが推察された.
著者
山本 龍生
出版者
公益社団法人 日本口腔インプラント学会
雑誌
日本口腔インプラント学会誌 (ISSN:09146695)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.230-234, 2017-12-31 (Released:2018-02-15)
参考文献数
15

日本では,高齢化の進展とともに認知症患者が増加しており,認知症の予防や早期発見が重要な課題となっている.近年の疫学研究などから,歯科口腔保健が認知症発症リスクに関わる可能性が明らかになってきた.要介護認定を受けていない65歳以上の4,425名を対象とし,歯数と義歯の使用状況を調査後,認知症を伴う要介護認定を4年間追跡調査した.その結果,年齢,所得や生活習慣などの影響を取り除いても,歯がほとんどなく義歯未使用の者は20歯以上の者と比較して,認知症発症リスクが1.85倍高くなった.また,歯がほとんどなくても義歯を使用している者は,20歯以上の者と比較して認知症発症リスクに有意差がみられなかったことから,歯がほとんどなくても義歯を使用することで認知症発症リスクを下げることができる可能性も示された.歯の喪失によって咀嚼能力が低下し,咀嚼による脳の認知領域への刺激が少なくなり,認知症になる可能性がある.また,咀嚼能力低下により,噛みづらい生野菜等を避け,ビタミン等の栄養が不足することで認知症発症リスクを高める可能性もある.歯周病は歯の喪失原因であるとともに長期の慢性炎症である.歯周組織の炎症から様々な物質が血液を介して全身の臓器に影響し,脳にも影響していることが考えられる.日本人の平均歯数は70歳以上では19以下である.認知症を防いで健康寿命を延ばすためにも,歯の喪失原因である歯周病やう蝕の予防が必要である.また,不幸にして歯を失っても,義歯やインプラント等で咬合を回復することで認知症予防や健康寿命延伸に寄与する可能性がある.
著者
吉成 正雄
出版者
公益社団法人 日本口腔インプラント学会
雑誌
日本口腔インプラント学会誌 (ISSN:09146695)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.182-190, 2017-09-30 (Released:2017-11-05)
参考文献数
22
被引用文献数
1

中性フッ化物の応用がチタンインプラントの耐食性に与える影響およびインプラント周囲炎を増悪させる可能性について検討した結果,以下が明らかとなった.①チタンイオンの溶出を引き起こす因子はフッ化物以外にも様々あり,インプラント周囲炎=フッ化物と一義的に限定するのには無理がある.②酸性(pH低)のフッ化物のみがチタンを腐食する.③歯肉縁下および縁上において,持続的なpH低下を支持するエビデンスはない.④急性炎症により生ずるpHの低下はほとんどない.⑤歯肉縁下において溶存酸素濃度が低下してもpHは低下せず腐食の危険性は少ない.⑥チタンへのフッ化物の応用は,抗菌性の付与など,積極的一面も存在する.以上より,中性フッ素化物の応用がチタンを腐食させる可能性が少ないことから,中性フッ化物の応用がインプラント周囲炎を増悪させる可能性はきわめて少ない.
著者
藤井 政樹 宗像 源博 山口 葉子 三田 稔 尾関 雅彦
出版者
公益社団法人 日本口腔インプラント学会
雑誌
日本口腔インプラント学会誌 (ISSN:09146695)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.191-196, 2020-06-30 (Released:2020-08-15)
参考文献数
12

インプラント治療後に認知症になり,介護施設に入居している患者のインプラントトラブルへの対応を行った1例を報告する.患者は86歳の女性.インプラント上部構造が脱離して,アバットメントが口唇や舌に当たって痛いとの訴えを介護施設の訪問診療歯科医師から相談を受け,アバットメントを除去して,インプラントのスリーピングを行った.現在は,インプラントのアバットメントによる口唇や舌の痛みはなくなり,義歯の着脱,管理ができるようになり,経過は良好である.
著者
菊谷 武
出版者
公益社団法人 日本口腔インプラント学会
雑誌
日本口腔インプラント学会誌 (ISSN:09146695)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.102-106, 2019-06-30 (Released:2019-08-10)
参考文献数
12

口腔機能は加齢とともに低下する.全身の機能の低下に伴い低下する.歯やインプラントの存在は,健康増進やフレイル予防に有効である.一方で身体機能の低下した患者にとってはその効力を相対的に失う.さらに重症の要介護状態では,歯やインプラントの存在が口腔環境や生命のリスクとなる場面もある.歯の存在がリスクとならないように,あらゆるステージにおいても口腔管理が適正に実施されなければならない.自立を失った高齢者に十分な口腔管理が提供できない現状は早期に解決しなければならない歯科の課題である.
著者
梅村 眞理 百田 義弘 松木 直人 小谷 順一郎
出版者
公益社団法人 日本口腔インプラント学会
雑誌
日本口腔インプラント学会誌 (ISSN:09146695)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.651-658, 2007-12-31 (Released:2014-04-10)
参考文献数
12

Intravenous sedation under the supervision of dental anesthesiologists is an increasingly common procedure in private dental clinics performed to ensure the safety and comfort of patients undergoing oral implant surgery. A questionnaire survey of patients following dental implant surgery was conducted to assess the level of recognition/understanding of intravenous sedation,presence or absence of various types of uncomfortable events during the perioperative period, and requests/expectations of patients regarding this type of sedation. A questionnaire was administered to a total of 55 patients who underwent intravenous sedation in a private dental clinic during the period between November 2004 and February 2006. Only 32.7% of patients were familiar with the term “intravenous sedation”. Since a total of 90.9% of patients had no or very little memory of events during surgery, the amnestic effects of sedative agents used were considered sufficient. Only a small number of patients reported uncomfortable perioperative events such as maintenance of a posture for a long period of time and coughing due to irrigation. Almost all patients indicated that they were comfortable during the operation, though 7.3% were bothered by the absence of memory during surgery. In order to ensure that patients can fully benefit from the amnestic effects of intravenous sedation, cooperation among the dentist, patient, and dental anesthesiologist during surgery, as well as preoperative management, is necessary.
著者
森 厚二 日高 勇一 中島 三晴 鬼澤 徹 矢ヶ﨑 裕 鈴木 和夫 五十嵐 俊男 伊藤 充雄
出版者
公益社団法人 日本口腔インプラント学会
雑誌
日本口腔インプラント学会誌 (ISSN:09146695)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.185-192, 1999-06-30 (Released:2016-08-20)
参考文献数
15

Three kinds of bone filling materials were prepared by combining powder, including CaO, CaSiO3 and hydroxyapatite (HAP), and chitin and chitosan. The proportion of CaO, CaSiO3 and HAP was 4.5%, 6.0% and 89.5%. This powder 0.54 g (A), 0.67 g (B) and 0.80 g (C) were kneaded with chitin and chitosan sol 2.2 g and hardened, respectively. These materials were evaluated in the experiment animal and osteoblastic cells. The purpose of this study was to discuss which materials were most desirable for the bone filling materials. In an animal experiment, tissue reactions were similar in each material and were characterized by granulation tissue formation with inflammation. In the osseous tissue, repairs at defected sites(B and C) and direct relationship between material A and bone were seen. Cultured cell examination revealed that DNA contents and alkaline phosphatase activity in material A were significantly higher than those in control. Results of this study indicated that material A, 0.54 g mixed in chitin and chitosan sol 2.2 g, was most effective for the bone formation.
著者
三浦 滋 村田 功 船橋 賢市 青野 茂樹 伊藤 充雄
出版者
公益社団法人 日本口腔インプラント学会
雑誌
日本口腔インプラント学会誌 (ISSN:09146695)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.330-334, 2002-09-30 (Released:2015-08-20)
参考文献数
6

Physical properties (including shrinkage, melting point, and thermal expansion) and mechanical properties (such as strength) of inlay wax can influence casting accuracy. Using three different types of paraffin waxes with different melting points, inlay waxes were prepared at a trial base. The melting points, shrinkage, and thermal expansion of these prepared inlay waxes were measured. The bending strength, as well as strain, was also measured from these inlay waxes when the ambient temperature was controlled to 16,23, and 30℃. Main results are as follows: 1. If a paraffin wax having a higher melting point was used, the resultant inlay wax showed a higher melting point and smaller shrinkage. 2. On the other hand, when a paraffin wax with a lower melting point was used, the resultant inlay wax had a larger thermal expansion. 3. The bending strength of prepared inlay waxes was lower when tested at a higher ambient temperature. 4. Strain of inlay waxes were recorded to be larger when the testing ambient temperature was higher.
著者
伴 清治
出版者
公益社団法人 日本口腔インプラント学会
雑誌
日本口腔インプラント学会誌 (ISSN:09146695)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.187-196, 2022-09-30 (Released:2022-10-30)
参考文献数
22

インプラント上部構造用材料は,レジン系,セラミックス系,金属系に大別でき,多くの選択肢がある.セラミックス系はさらにガラスセラミックス系とジルコニア系に二分される.一方,デジタル技術の進歩により,CAD/CAMシステムを使用して高い適合精度でインプラント上部構造を製作することが可能となってきている.また,CAD/CAMシステムは年々多様化し,使用可能な材料が増える傾向にあり,その選択に苦慮する場合がある.たとえば,金属系材料は機械的性質においては満足できるが,審美性およびアレルギー問題により使用は限定される.PEEKおよびPEKKなどのスーパーエンジニアリングプラスチックは化学的性質に優れているが,硬さが低く主にフレーム(コア)として用いられる.また,ガラスセラミックスやコンポジットレジンは微視的には不均質組織であり,機械的性質および化学的性質が各微細組織部分で異なり,上部構造体として口腔内に長期に使用した場合,表面が荒れ,変色しやすくなる.結果として,対合歯の摩耗は大きくなってくる.一方,ジルコニアは均質組織であり,すべての上部構造用材料のなかで最も化学的耐久性が高く,強く,硬く,鏡面研磨仕上げをすれば,対合歯の摩耗は最も小さいと判断できる.したがって,材料学の立場からは,種々の歯科修復材料のなかでジルコニアがインプラント上部構造として最適の性質を有していると判断される.
著者
吉永 修 加倉 加恵 石原 貴美恵 柳 束 谷口 祐介 城戸 寬史
出版者
公益社団法人 日本口腔インプラント学会
雑誌
日本口腔インプラント学会誌 (ISSN:09146695)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.40-48, 2018-03-31 (Released:2018-04-20)
参考文献数
22

本研究の目的は,荷重下のジルコニアインプラント周囲骨組織の反応を動物モデルで評価することである.φ3.0×15.5mmの1ピースタイプのスレッドタイプジルコニア製実験用インプラントを製作した.表面性状は機械加工タイプとレーザー加工タイプの2種類とした.2頭のビーグル犬の下顎両側臼歯を抜歯し,6カ月後に右側に機械加工タイプ3本,左側にレーザー加工タイプの実験用インプラントをそれぞれ3本埋入した.埋入直後に金属製保護床を装着し,3カ月間インプラント体に負荷を与えないようにした.埋入から3カ月後,1頭から無負荷モデルとして試料を採取した.別の1頭のジルコニアインプラント上に金属製の上部構造を装着した.また,対合歯に咬合プレートを装着し,インプラント上部構造と咬合接触を与えた.12カ月後,咬合負荷モデルとして試料を採取した.研磨標本で骨接触率(BIC)とインプラントのスレッド内の骨占有率(BA)を測定した.また,荷重前後のエックス線写真でインプラント辺縁骨を評価した.すべての組織標本でインプラント体表面と骨組織の直接接触が観察された.組織標本とエックス線写真において辺縁骨の吸収像はなかった.2種の表面性状の間にBICとBAに差は認められなかった.荷重後のBICとBAは荷重前と比較して,機械加工タイプの皮質骨部を除いて有意に高くなった.以上の結果から,ジルコニアはインプラント体材料として有用性が高いことが示唆された.