著者
清水 麻帆
出版者
コンテンツツーリズム学会
雑誌
コンテンツツーリズム学会論文集 (ISSN:24352241)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.47-57, 2018 (Released:2021-09-01)

本論文では、コンテンツツーリズムにおいて、聖地への訪問回数に影響を及ぼす要因が聖地再訪と地域の人を含めた地域文化が要因であることを重回帰分析から明らかにしている。本研究の背景には、近年、コンテンツツーリズムが地域の活性化の1つとして自治体から注目され、多くがそれに関連した政策や取り組みを実施しているが、実際には試行錯誤していることが挙げられる。自治体はコンテンツツーリズムに関する知見がほとんどないため、観光振興を持続するための施策や取り組みもイベントなどの一過性のものになっているのが現状である。近年ようやくコンテンツツーリズムが学術的に研究され始め、その成果の蓄積が少ないことも1つの要因である。 そこで、本研究では、コンテンツツーリズムの再訪要因を明らかにする。その方法は、水泳青春アニメの「Free!」の舞台である鳥取県岩美町を研究対象とし、そこに再訪している人達に対するアンケート調査の結果を分析する。以下、第2節では、先行研究の整理を通じて再訪要因を検討する。第3節では、本研究の分析方法を概説し、第4節では、分析結果より、本事例におけるコンテンツツーリズムの特性と再訪要因を論考する。最後に、再訪要因から考察したコンテンツツーリズムの地域の活性化のあり方について言及する。