著者
清水平 ちひろ 江川 裕美 近藤 摂子
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.8, no.5, pp.527-533, 2009 (Released:2010-08-22)
参考文献数
18

2008年4月から同10月までの当院入院症例のうち,疥癬40例に対してイベルメクチン投与と安息香酸ベンジルオイラックス外用を行った。全例が65歳以上であった。イベルメクチン投与中および投与後に有害事象を認めた症例は臨床検査値異常が5例,基礎疾患によると考えられる死亡例が2例あった。このうち臨床検査値異常の5例はいずれも無治療で正常化した。軽度の肝障害を認めた2例に対してもイベルメクチンの内服治療を行ったが,投与後に臨床検査値の悪化は認めなかった。投与回数については疥癬のライフサイクルからは少なくとも2回の投与が望ましいと考えられた。しかし,2回で治癒した例は71%に過ぎず,12例で3回以上の投与を必要とした。疥癬の集団発生では,当院のような高齢者症例の多い場合でも積極的な内服加療が有効であり,比較的安全に使用できることが確認された。