著者
武岡 永里子 佐々木 りか子 沼野 香世子 山﨑 貞男 川島 眞
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.316-328, 2011 (Released:2012-10-23)
参考文献数
19

軽症から中等症のアトピー性皮膚炎を有する6歳未満の乳幼児40例を対象に,低刺激性スキンケア製品 2e(ドゥーエ)ベビープラスの泡状洗浄料と乳液を顔面に,泡状シャンプーを頭皮と頭髪に6週間使用する試験を実施した。評価項目として皮膚所見のほか,角層水分量と経皮水分蒸散量 (TEWL) の測定を行った。その結果,いずれの製品もアトピー性皮膚炎を有する乳幼児に安全に使用可能であることを確認した。さらに皮膚の乾燥症状および痒み症状の改善効果,バリア機能の改善効果があることが示された。以上より,これらの製品は軽度の皮疹を有するアトピー性皮膚炎患児に有用なスキンケア製品であることを確認した。(皮膚の科学,10: 316-328, 2011)
著者
立石 千晴 中川 浩一 梶本 敦子 岸田 大 曽和 順子 鶴田 大輔 小林 裕美 石井 正光
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.119-122, 2010-04-30 (Released:2011-05-26)
参考文献数
13

43歳,女性。セコガニ(雌ズワイガニ)の味噌汁を摂食して2時間後に入浴し,その後就寝したところ,摂食の7時間後に全身に蕁麻疹が生じた。レスタミンコーワ糖衣錠®を内服して皮疹はいったん消退したが,同9時間後にかゆみで覚醒し,短時間の意識消失および嘔吐と下痢を認めた。即時型の症状を伴わない遅発性アナフィラキシーと考えた。回復後,セコガニを用いてプリックテストとスクラッチテストを行ったところ,外子(受精卵)で陽性,内子(卵巣)で陰性,ミソ(肝・膵臓)で陰性であった。さらに,雄のズワイガニ,タラバガニ,ケガニの筋肉を用いて同テストを行ったところ,雄ズワイガニとケガニのスクラッチテストのみ陽性であった。その理由はタラバガニがヤドカリの仲間であり,カニ類との交叉性が低かったためと推測した。
著者
大山 綾子 大迫 順子 林 綾乃 鶴田 大輔
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.33-37, 2019 (Released:2019-08-13)
参考文献数
17

40歳代,女性。プレコール○R 持続性カプセル内服約20分後に咽頭の瘙痒感が出現。その後全身に瘙痒感を伴う浮腫性紅斑が出現し拡大した。無治療で約 1 時間30分後に軽快した。プレコール○R 持続性カプセル( 1 %,10% aq.)と,その成分であるイソプロピルアンチピリン( 1 %,10% aq.)でスクラッチテスト陽性であった。イソプロピルアンチピリン以外の,プレコール○R 持続性カプセルに含まれる各成分を含有する 5 種類の薬剤の内服テストを施行したところ,すべて陰性であった。以上の結果より,本例をイソプロピルアンチピリンによる蕁麻疹型薬疹・即時型アレルギーと診断した。イソプロピルアンチピリンは様々な医療用医薬品や多種類の一般医薬品に含まれており,注意が必要であると考えた。 (皮膚の科学,18 : 33-37, 2019)
著者
野村 祐輝 夏秋 優 岡本 祐之
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.16, no.6, pp.436-440, 2017 (Released:2018-06-28)
参考文献数
23

70歳代,女性。6月下旬,頸部にかゆみのある発疹が出現し,刺したと思われるアリを持参して当科を受診した。初診時,頸部にそう痒を伴う紅色丘疹が孤立性に4ヶ所認められた。そのアリは体が黒褐色,脚が赤褐色で,形態的な特徴からオオハリアリと同定し,自験例をオオハリアリ刺症と診断した。オオハリアリは尾端部に毒針を有するアリで,中国や朝鮮半島,北海道を除く日本全国に分布している。わが国でオオハリアリ刺症と診断された報告はこれまで11例あり,うち7例はアナフィラキシー症状を生じている。韓国でも在来種として,米国では外来種としてオオハリアリ刺症によるアナフィラキシーが報告されている。最近,特定外来生物であるヒアリが日本国内で発見され,その毒性や危険性が問題になっている。自験例はアナフィラキシー症状を認めず,ステロイド外用のみで軽快したが,オオハリアリは刺されるとアナフィラキシーを起こす可能性のある身近なアリであると認識することが重要である。(皮膚の科学,16: 436-440, 2017)
著者
中川 登 夏秋 優 荒木 徹也
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.3, no.6, pp.541-545, 2004 (Released:2011-11-07)
参考文献数
6

市立伊丹病院における1993年~2003年の毛虫皮膚炎患者数を調査した。その結果, 2003年が最も多く95名,次に1993年が46名,1994年は34名で,その他の年は25名以下であった。また,2003年の毛虫皮膚炎患者95名について検討したところ,男女比は49:46であり年齢分布では9歳以下の小児と50歳以上の中高年に多い傾向があった。これらの患者の皮疹の好発部位は上肢であった。月別患者数では6月と8~9月に多く,チャドクガの幼虫が出現する時期に一致していることから,その原因の多くはチャドクガの幼虫であろうと推察された。次に毛虫皮膚炎の患者数と気候との関連を調べるため,神戸における月別降水量と平均気温について調べた。その結果,1993年と2003年は長雨,冷夏であったことが判明した。このことから気象条件が毛虫の発生,及び毛虫皮膚炎患者数に影響を与える可能性が示唆された。
著者
三宅 明子 奥村 達也 岡本 亨
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.421-427, 2008 (Released:2010-12-06)
参考文献数
19

トラネキサム酸とアスコルビン酸リン酸ナトリウムは色素斑の治療薬としてよく知られている。これらの薬物は作用メカニズムが異なることから,併用によってより高い有効性が期待される。そこでこれら薬物の連続イオントフォレーシス(イオン導入)を試みた。トラネキサム酸はプラス極から,アスコルビン酸リン酸ナトリウムはマイナス極からのイオン導入が有効であったため,導入順序の検討を行ったところアスコルビン酸リン酸ナトリウムの導入の後にトラネキサム酸のイオン導入を行うとアスコルビン酸リン酸ナトリウムの皮内濃度は著しく低下したが,逆の順序では皮内濃度に大きな影響を及ぼさなかった。連続でイオン導入する際,皮膚に導入された薬物は次にかかる電場により様々な影響を受けることがわかった。
著者
堀口 裕治 山田 稔
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.39-43, 2013 (Released:2013-06-21)
参考文献数
18

75歳,男性。スッポンの卵を生で食べた約8週後,右側腹部にそう痒を伴う赤い結節が生じた。初診時,径約 15mm の隆起性で柔らかい赤色結節が見られ,近傍の皮下に浸潤をふれた。パンチ生検を行ったところ,結節の中に白色の紐状の寄生虫をみとめた。その表面の性状,頭部の形,虫体内の石灰小体の存在からマンソン裂頭条虫のプレロセルコイドと同定した。また,血清中の抗マンソン裂頭条虫抗体価の上昇を確認した。生検時に幼虫を除去したのちには再発はみられず,3ヶ月の経過で抗体価は減少した。本例をスッポンの卵の生食により罹患した早期のマンソン孤虫症と診断した。文献的にもスッポンの生食は寄生虫に感染する可能性があると考えた。(皮膚の科学,12: 39-43, 2013)
著者
宮地 良樹 Mizzi Fabienne 三田 哲也 白 立岩 生駒 晃彦
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.294-307, 2016

目的:本治験は,アダパレン0.1%/過酸化ベンゾイル2.5%配合ゲルを日本人尋常性ざ瘡患者に12ヶ月間の長期投与をした場合における安全性と有効性を検討することを目的として施行された。<BR>方法:多施設共同,非盲検,非比較,長期投与第III相臨床試験で,治験薬は12ヶ月間,1日1回,計436例の被験者の顔面全体に塗布された。安全性は有害事象や局所刺激性評価などの指標を用いて評価した。有効性は皮疹数の12ヶ月目の減少率によって評価した。<BR>結果:計47件の治験薬と関連のある有害事象が43例(9.9%)の被験者において報告され,このうち9例が治験を中止した。治験薬と関連のある有害事象の発生頻度は第1期(投与開始後90日以内)が最も高かった。治験薬と関連のある有害事象の大半は皮膚関連で,そのうち皮膚刺激が最も多かった。皮膚刺激の発生頻度は第一期で5.5%であった。局所刺激の徴候・症状の程度は,ほとんどが軽症か中等症で,重症であった被験者は極少数であった。有効性に関しては,12ヶ月目のベースラインと比べた皮疹数の減少率は,総皮疹数,炎症性皮疹数,非炎症性皮疹数のいずれにおいても85%を超えていた。<BR>結論:本試験により,日本人尋常性ざ瘡患者におけるアダパレン0.1%と過酸化ベンゾイル2.5%配合ゲルの長期投与の高い有効性と安全性が示された。(皮膚の科学,15: 294-307, 2016)
著者
川島 眞 原田 昭太郎 Philippe Andres 宮地 良樹
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学
巻号頁・発行日
vol.6, no.5, pp.504-512, 2007

尋常性ざ瘡は慢性疾患であるため,短期的な治療効果を維持するとともに,患者の期待に応える効果を得るためには長期間の治療を要する場合が多い。本試験は,日本人の尋常性ざ瘡患者に対し,アダパレンゲル0.1%を1日1回,最長12ヵ月間投与した場合の安全性及び有効性の評価を目的として実施した。446例の男女の被験者が組み入れられ,404例(91%)が6ヵ月間以上の投与を受け,357例(80%)が12ヵ月間の試験期間を完了した。尋常性ざ瘡患者に対する,最長12ヵ月間のアダパレン治療は高い安全性及び忍容性を示した。有害事象のほとんどが試験開始後2週間以内に生じた軽度又は中等度の一過性のものであった。9例(2.0%),13件の重篤な有害事象が発現したものの,いずれも被験薬との因果関係はなしと評価された。8例(1.8%)に試験中止につながる有害事象が発現し,被験薬との因果関係ありと評価された。総皮疹数,炎症性皮疹数及び非炎症性皮疹数の減少率(中央値)により評価されたアダパレンゲル0.1%の治療効果は,いずれの皮疹数についても試験開始3ヵ月後以降も認められ,その後6ヵ月後,さらに12ヵ月後まで継続した。このことから,アダパレンによる尋常性ざ瘡の治療期間として推奨される3ヵ月間の治療後にも継続投与することの臨床的意義が示唆された。また,被験者は試験終了時に実施した調査において,治療に対する高い満足度を示した。この満足度は,12ヵ月の試験中,経時的に増加した。以上より,日本人の尋常性ざ瘡患者にアダパレンを12ヵ月にわたり長期に使用することは,安全かつ有効な治療であることが支持された。
著者
林 伸和
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学
巻号頁・発行日
vol.8, no.6, pp.793-799, 2009

2008年秋に待望の外用レチノイドであるアダパレンが上市された。アダパレンでは副作用として外用部位における紅斑や鱗屑,乾燥などがみられるが,症状は軽く継続に問題がない症例が多い。第III相の基剤との比較試験では全顔に1日平均0.58g,1年間の長期安全性試験では1日平均0.46gを使用していた。このことから1日の使用量として0.5gを指導し,その後症状と副作用に応じて症例により増減し,個々の患者に最適な使用量を決定するのが適切と考えられる。また,面皰に対する治療の効果を自覚するのは2から3ヵ月を要し,その後の長期継続でさらなる改善を得ることができる。継続使用の重要性を開始時に説明しておくことも重要である。
著者
越智 沙織 髙橋 彩 片山 一朗
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.17, no.5, pp.274-283, 2018 (Released:2019-03-30)
参考文献数
14

高齢者の乾皮症に対する化粧品保湿剤の影響を解析した。2017年 2 月から 4 月の間,大阪大学医学部附属病院を受診した60歳以上の乾皮症患者30例を対象とし,常盤薬品工業株式会社が販売しているノブ○R スキンクリームD(以下,保湿クリーム),コントロールとして白色ワセリン(以下,ワセリン)を使用した。左右の下腿に,保湿クリームとワセリンを塗り分け,外用開始前および 4 週間外用後に評価した。 4 週間外用継続できた29例は明らかな有害事象を認めなかった。外用 4 週後の皮膚病変スコア・瘙痒 VAS は外用前と比較して,両群ともに全項目で有意に低下した。外用 4 週後の角層水分量は保湿クリーム・ワセリン群ともに外用前と比較し有意に増加し,ワセリン群と比較し保湿クリーム群で有意に高値であった。外用 4 週後の経表皮水分蒸散量は保湿クリーム群のみ有意に低下した。次に 250 Hz および 5Hzの経皮的電気刺激に対する知覚応答性閾値は保湿クリーム群がワセリン群と比較して有意に高値であった。さらに角層における SH 基染色強度と重層剥離度は保湿クリーム群のみ有意に減少した。以上より,保湿クリームは皮膚病変・瘙痒だけでなく,バリア機能・角層機能を有意に改善させた。保湿剤は多様化しているが,医薬品だけでなくノブ○R スキンクリームDのような化粧品も保湿効果が高く,使用感が良ければ,乾皮症の治療効果を高めることが示唆された。 (皮膚の科学,17 : 274-283, 2018)
著者
山中 隆嗣 渡辺 愛子 中塚 伸一 庄田 裕紀子
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.82-86, 2010-02-28 (Released:2011-04-26)
参考文献数
17
被引用文献数
1

58歳,男性。17年ほど前より右大腿部に移動性の皮下腫瘤を自覚し,夏には鶏卵大まで増大し,冬には縮小していた。その特異な症状より寄生虫感染を疑った。摘出前に超音波検査を施行し,摘出時には生きた虫体を観察することができた。病理組織学的には,脂肪組織内に好酸性の外被に覆われた粗な内部構造を有する虫体と,軽度の好酸球浸潤を伴う肉芽腫反応を認める結節が確認され,ELISA 法の結果から,17年という比較的長期間寄生したマンソン孤虫症と診断した。
著者
川島 眞 橋本 晋 大橋 実可子 常深 祐一郎 海老原 全
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.16, no.5, pp.356-365, 2017 (Released:2018-06-15)
参考文献数
10

目的:ヘパリン類似物質フォーム(以下,フォーム)の皮脂欠乏症患者における有効性および安全性を確認するため,ヘパリン類似物質ソフト軟膏(ヒルドイド®ソフト軟膏0.3%,以下,ソフト軟膏)からフォームへの切り替えを想定した試験デザインで,有効性および安全性を評価するとともに両製剤の使用感を調査した。方法:非対照,非盲検,多施設共同で,皮脂欠乏症患者にソフト軟膏を2週間塗布した後フォームを2週間塗布した。有効性は,ソフト軟膏の塗布終了時の治療効果がフォームに切り替えた後も維持されたか否かで総合的に判定した。また,皮膚所見スコアの経時推移も確認した。安全性は有害事象および臨床検査値で確認し,試験薬の使用感は患者アンケートで調査した。結果:60例が試験に組み入れられ,全例が試験薬を投与され試験を完了した。ソフト軟膏を2週間塗布した後の治療効果は,フォームへ切り替えた後もデータ欠測の1例を除き全例で維持された。皮膚所見スコアは経時的に改善した。フォーム切り替え後に有害事象の発現割合は増加せず,臨床検査値への影響もなかった。患者アンケートでは,フォームは展延性に優れ,べたつきの少ない製剤であることが示唆された。結論:フォームの有効性が確認され,安全性に問題はみられなかった。患者アンケートでは,塗り広げやすくべたつきの少ない保湿剤を求める患者にとってフォームが新たな剤形選択の一つとなる可能性が示唆された。(皮膚の科学,16: 356-365, 2017)
著者
山口 麻里 山本 彩乃 安富 陽平 長尾 洋 大野 貴司 森 英樹
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.17, no.5, pp.245-249, 2018 (Released:2019-03-30)
参考文献数
17

症例は70歳代,男性。眼の違和感に対し市販の点眼薬を使用開始したところ,眼囲に瘙痒を伴う紅斑,腫脹が出現した。点眼薬の使用を中止の上,ステロイド軟膏の外用を行い,数日間で症状は軽快した。パッチテストでは,点眼薬で陽性。成分パッチテストではアミノカプロン酸で陽性だった。アミノカプロン酸はかつては止血剤として使用されていた抗プラスミン剤だが,現在医療用剤は販売終了している。しかし,止血,抗アレルギー,抗炎症作用と様々な作用を有するため,現在でも医薬品や医薬部外品の成分・添加物として汎用されている。日常生活品にも多岐にわたって使用されており,アミノカプロン酸に対しアレルギーを有する患者は注意が必要である。 (皮膚の科学,17 : 245-249, 2018)
著者
中村 元信 戸倉 新樹
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.11, no.Suppl.19, pp.31-35, 2012 (Released:2013-07-06)
参考文献数
7

ロキシスロマイシンは14員環マクロライドの1つであり,抗生物質としての作用以外にサイトカイン産生抑制,抗酸化,好中球機能抑制などさまざまな作用が知られている。組織にマスト細胞の浸潤が認められた好酸球性膿疱性毛包炎にロキシスロマイシンを投与したところ,効果が見られた1例を経験し,ロキシスロマイシンによるマウス骨髄由来マスト細胞の IL-13,CCL17/TARC,CCL22/MDC 産生調節について検討を行った。ロキシスロマイシンは IL-13,CCL17/TARC,CCL22/MDC いずれの産生も抑制した。今後,マスト細胞が関与した皮膚疾患にロキシスロマイシンの効果が期待される。(皮膚の科学,増19: 31-35, 2012)
著者
長岡 悠美 夏秋 優 山西 清文
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.9, no.5, pp.462-464, 2010-10-30 (Released:2011-11-02)
参考文献数
7

64歳,女性。萎縮性膣炎のため産婦人科でホーリン®V膣用錠を挿入された。その直後から気分不良を生じ,約30分後に全身に熱感と痒みを伴う紅斑が出現すると共に呼吸困難と意識混濁を生じた。すぐに膣内を洗浄して,ステロイド剤の点滴療法を施行したところ,症状はすみやかに軽快した。原因検索のために施行したプリックテストでは,ホーリン®V膣用錠の成分(エストリオール,ステアリン酸マグネシウム,マクロゴール6000)のうちマクロゴール6000のみで陽性を示した。以上より,自験例をホーリン®V膣用錠に含まれるマクロゴール6000によるアナフィラキシーと診断した。
著者
榎本 美生 山本 純照 多田 英之 矢敷 敦 北村 華奈 葛城 麻実子 浅田 秀夫 宮川 幸子
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.192-197, 2006 (Released:2011-02-18)
参考文献数
16

54歳,女性。家族歴:両親がいとこ婚。現病歴:幼少時から体幹を中心に表面に軽度の膜様鱗屑を有する癜風様の紅褐色局面と脱色素斑が多数みられ,次第に増数がみられた。平成6年より左耳前部に小結節が生じ,切除の結果,有棘細胞癌と診断された。その後,顔面,体幹,四肢に結節が出現し,平成13年7月までの間に合計15回切除術を受けた。病理組織検査の結果,基底細胞癌,有棘細胞癌,ボーエン病,脂漏性角化症と診断され,疣贅状表皮発育異常症(EV)を基礎として生じたものと考えられた。平成16年6月頃より,以前の左前腕ボーエン病の手術痕の断端から赤褐色角化性局面が出現し,左頬部に常色の角化性局面と躯幹部に多数の黒色小結節を認めたため,平成16年8月再診した。切除にて各々ボーエン病,日光角化症,基底細胞癌であった。前腕および顔面の皮疹から抽出したDNA解析の結果,EVとの関連性が指摘されているHPV15型が同定された。
著者
河合 修三
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.5, no.6, pp.466-468, 2006

当院では,約3年前よりVHO式爪矯正法を開始した。その間に,450趾以上の爪の矯正を施術し良好な成績を得ており,その代表例を提示した。本治療法は,手術治療のような疼痛や日常生活へ支障をきたすことなく,急速に痛みを取り除くことができ,しかも,従来の保存的治療よりも確実で,頻繁な取替えを行わなくてもよい優れた方法である。炎症症状のない陥入爪・巻き爪では,ほぼ万能である。しかし,肉芽組織を伴うものに対しては,ガター法,冷凍療法などを併用することにより,対応可能であるが,困難な場合があった。
著者
中村 晃一郎
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学
巻号頁・発行日
vol.5, no.7, pp.B21-B23, 2006

アトピー性皮膚炎(AD)の病変部にはT細胞,好酸球,肥満細胞などの浸潤を認め,これらの細胞がサイトカインやケモカインを産生することによって皮膚炎の増悪,かゆみの増悪を惹起していると考えられる。筆者らは,ADの病態における白血球走化因子としてのケモカインの作用が明らかにした。またADの標準治療薬として使用される副腎皮質ステロイド軟膏やタクロリムス軟膏などの免疫調節薬が,ケモカイン産生に対して抑制作用を有することを明らかにした。ADの病態におけるケモカインの作用について最近の知見を紹介した。