著者
清野 公師 寺井 忠正 後藤 邦夫
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1991, no.2, pp.149-152, 1991-02-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
9

GrayanotoxinIII (3,5,6,10,14,16-hexahydroxygrayanotoxane ,G-III) は 3,6,14 位に第二級ヒドロキシル基,また, 5,10,16 位に第三級ヒドロキシル基の合計6つのヒドロキシル基をもつ四環性ジテルペノイドである。本報においては,0~100℃ の間に5段階の反応温度を設定し G-III を無水酢酸-ピリジンによりアセチル化反応を行うとともに,その反応経過を詳細に検討した。その結果,ヒドロキシル基のアセチル化に対する反応性は,6位が最も高く,以下,3位,14位,16位の順であった。この中で,6位のヒドロキシル基の反応性は極めて高く,0℃ではこれのみが選択的にアセチル化された。一方,3-OHと14-OHのアセチル化速度の比は,100℃においては 5 : 2 であったが,低温になるにつれその比が減少し,20℃では約 1:1 となった。さらに,第三級ヒドロキシル基については77℃以上で反応した結果,16位のみがアセチル化された。以上の結果から,この反応は逐次競争反応にしたがい進行することが判明した。