著者
渡邉 頼陽
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.89, no.3, pp.545-568, 2015-12-30

本論は、著名な社会学者であるピーター・L・バーガーが最も早い時期に説いた神学を取り上げ論じるものである。バーガーは多くの著作を世に問い、様々なテーマを論じてきた研究者であるが、その中で神学は些末なテーマではない。そして、その神学は最初から社会学者としての見解を取り入れ構想されているので、バーガー神学の理解はその宗教社会学理論を考えるためにも、より広くその宗教論を考えるためにも重要である。本論はバーガーの初期神学を、そこで語られる「宗教」「世俗(化)」「キリスト教」といった概念に注目して論じてゆくものである。なお、本論はその初期の神学を思想史的に検討することでバーガーの宗教論の深い理解に貢献することを目的としており、その神学的な妥当性を問うものでは無い。本論が注目するのは、バーガー初期神学において、その社会学者としての考察と、キリスト者としての信仰がどのように関係していたかという点なのである。