著者
渡部 成江 森谷 [キヨシ] 角田 矢野 悦子 阿岸 祐幸
出版者
日本生気象学会
雑誌
日本生気象学会雑誌 (ISSN:03891313)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.27-34, 2009-03-01
参考文献数
22
被引用文献数
1

温泉保養地において,天然温泉入浴並びにさら湯入浴対照実験を行い,天然温泉水がもたらすストレス軽減効果を検討した.実験期間は 2004 年 11~12 月,被験者は 57~67 歳の健常な女性 8 名であった.両実験ともに全身入浴用ポリウレタン製の袋に 40℃の天然温泉水,またはさら湯を満たして温泉の浴槽に入れ,水質のみが異なり他の環境条件を同一にした.被験者に入浴を 10 分間,出浴後は 28&ndash;29℃で 30 分間半臥位での安静をとらせた.天然温泉入浴の結果,入浴中に脳波感性スペクトルの「喜び」,「Comfortable」,「Good Mood」値が上昇し,心地よい感情の高まりを示し,出浴後の「リラックス感(MCL)」はさら湯入浴に比べて高い傾向であった.出浴後の平均皮膚温変化を比較すると,天然温泉入浴はさら湯入浴に比べて保温効果が高かった.天然温泉入浴はさら湯入浴よりも感情改善,保温,ストレス軽減効果が大きいと考えられる.<br>