著者
渥美 龍男
出版者
岐阜医療科学大学
雑誌
岐阜医療科学大学紀要 (ISSN:18819168)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.167-179, 2007

平成17年3月の名鉄美濃町線(関-岐阜間)の廃止後,地域社会に様々な影響が生じ,特に関市周辺では運転再開を望む声が高まっている。本稿ではこの軌道線が廃止に至った社会的背景の整理,統計データの分析,学生に対するアンケート調査の解析を行った。その結果,法改正により鉄軌道の撤退が届け出制になり,また,会社内での内部補助が難しくなった等の社会背景の元で,同規模の鉄軌道の中で輸送密度が大きいにもかかわらず,大手私鉄の運営が故に営業経費が高くかつ運賃が低い為に大きな赤字になり,そのままでは事業存続困難になり廃止に至った事が分かった。また,廃止により本学の看護学科の学生に関して,発表値と同様に通学利用者の半数強がバスに移行したが,経済的負担が増え,本学看護学科だけでも時間的な損失を含め概算で年間約240万円の損失が生じた事が分かった。さらに,5割強の学生が美濃町線の再開を望んでいることが明らかになった。