著者
大浦 ゆう子 湯沢 八江
出版者
一般社団法人 日本老年看護学会
雑誌
老年看護学 (ISSN:13469665)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.84-92, 2007-03-15 (Released:2017-08-01)
参考文献数
23
被引用文献数
4

本研究の目的は,要介護高齢者の皮膚状態と血清アルブミン値との関連を明らかにし,皮膚状態が低栄養状態を早期発見するための指標の1つになりうるかどうか検討することを目的とした.低栄養状態は,血清アルブミン値が3.5g/dl以下に属する状態と定義した対象者は,F県内の療養型病床と介護病棟を有するA病院に入院している65歳以上の要介護高齢者183名のうち,平成16年8月から9月の調査期間に血清アルブミン値の血液データが得られた73名であった.結果,低栄養状態にある者は40名(55%)であり,認知症を含む精神疾患を有し,年齢が高くなるほど,寝たきりで日常生活に介助を要することが多い者ほど高い割合でみられた.皮膚状態と血清アルブミン値との関連では,顔色,上腕の皮膚の緊張,下腿部の皮膚の乾燥,足背の皮膚の乾燥,上下肢の皮膚の薄さに有意な関連を認め,これらは低栄養状態の指標となる可能性が示唆された.