著者
福増 廣幸 伴 敏彦 湯浅 貞雄
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR ARTIFICIAL ORGANS
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.463-468, 1986

完全置換型人工心臓を植え込み最低1カ月以上良好な健康状態にて生存し得た動物を選んで、生体内の末梢血管の生理学的薬理学的性状の研究を行った。完全置換型人工心臓によって自然の心臓を置換された動物では、心拍数や心拍出量を自由にコントロールすることが可能であり、また心臓血管系に作用する薬物の影響も藁けることがない。健康な時期を選んで常用量の約2~3倍量の心血管系薬(ジギタリス・Ca<sup>++</sup>、プロタノール他)投与した結果は教科書的効果を確認した。運動負荷(トレッドミル)における末梢血管抵抗は明らかに低下した。心拍出量の急激な変更によっても末梢血管抵抗は約7分を要して徐々に変化安定する。静止状態でのファイティング負荷では全か無かの法則の如き急激な末梢血管抵抗の変化を認めた。死に直面する時の末梢血管の拡張は最も特長的に血液pHの変化に反応する現象が明らかとなった。血清透過性も亢進する。