著者
高橋 直樹 満岡 孝 加藤 新 横山 一己
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.111, no.7, pp.371-388, 2005-07-15
参考文献数
37
被引用文献数
1 16

房総半島中部上総層群黄和田層中に挟在する第三紀/第四紀境界指標テフラである鍵層Kd38は, 南関東地域の上総層群相当層では房総半島南部の千倉層群が唯一未確認であったが, 本研究において初めて確認することができた.千倉層群中でこれまでの微化石および古地磁気の研究により, 第三紀/第四紀境界付近に挟在することが知られている畑層中の鍵層KOを基準として4つのルートを選定し, そのうち1ルート(林道畑2号線)において, 層序, 岩相, 重鉱物組成, 斜方輝石の化学組成から, HT08Bテフラがテフラ鍵層Kd38に, HT07テフラがテフラ鍵層Kd39に対比された.林道山倉線では, テフラ鍵層Kd38は確定できなかったものの, 候補は挙げられた(YK04C).また, YK03テフラがテフラ鍵層Kd39に対比できた.また, 同様な手法で三浦半島横浜地域(磯子区氷取沢)の大船層中に新たにテフラ鍵層Kd39を見出し(YH02テフラ), テフラ鍵層Kd38(YH10テフラ)との層序関係も確認した.本研究により, 南関東のほぼ全域でテフラ鍵層Kd38が確認され, 今後の南関東地域の地質構造発達史の研究がさらに進展することが期待される.