- 著者
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溝井 賢幸
大内 明夫
椎葉 健一
松野 正紀
- 出版者
- 一般社団法人日本消化器外科学会
- 雑誌
- 日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
- 巻号頁・発行日
- vol.24, no.10, pp.2584-2588, 1991-10-01
- 被引用文献数
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13
脾臓にのみ孤立性転移を認めた結腸癌の1例を経験した.症例は60歳,男性.上行結腸癌と脾腫瘍の診断で入院となったが,術前の画像診断では原発性か転移性かの鑑別は困難であった.開腹時の術中迅速病理診断で粘液癌と診断し,上行結腸癌の脾転移と考え,右半結腸切除術と脾摘術を施行した.術後9か月より血清CEA値の再上昇がみられるが,画像診断上再発は確認されていない.大腸癌の脾転移は頻度が低く,特に肝臓など他臓器に転移せず,脾臓にのみ転移した症例は極めてまれであり,文献上本症例も含め6例のみであった.脾転移の経路に関しては不明の場合が多いが,血行性転移が主であるとする意見もあり,本症例も血行性転移の可能性が高いと考えられた.文献上孤立性脾転移の切除予後は比較的良好であり,早期診断と積極的切除が重要と考えられた.