著者
滝 基次
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.33, no.6, pp.445-448, 1959 (Released:2008-11-21)
参考文献数
11
被引用文献数
1

35% HClO4溶液を展開剤とするペーパークロマトグラフィーによる普通澱粉のアミロースの定量法を設定した.澱粉の1mg/ml溶液の0.mlを濾紙ストリップにつけて風乾後, 35% HClO4溶液で展開し,アミロース区分を展開前線部に,アミロペクチン区分を原帯に分離した.次いでアミロペクチン区分をストリップより切り除き,残余のストリップから35% HClO4溶液でアミロース区分を流下捕集し沃素で呈色せしめて吸光度を測定した.別にアミロースについて同様クロマトグラフィーを行って,回収アミロースの沃素呈色度の標準曲線を求めて,これを基準として澱粉のアミロース含量を算出した.この方法で10種の澱粉のアミロースの定量を行って,従来行われている沃素呈色度による比色法,沃素電圧滴定法で得た定量値と比較した.一般にこの方法で求めた値は他の2方法で求めた値より高かった.更にSchoch法に準じてn-ブタノールを使用して澱粉より分別したアミロペクチン中に沃素で青色に呈色する区分の混在を認めて,この区分の分離を行ってアミロースと推定して定量した.