著者
滝島 真優
出版者
一般社団法人 日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.44-57, 2022-02-28 (Released:2022-05-21)
参考文献数
30

本研究は,きょうだい児に対する教員の認識を明らかにし,学校教育における組織的なきょうだい児支援のあり方について検討することを目的とした.教員を対象とした質問紙調査を実施し,320通の回答を有効とした.その結果,きょうだい児の多くが慢性疾患や障害のある兄弟姉妹や親に対する感情面のサポートを担っており,学校生活への直接的な影響は現れにくいことが考えられた.また,支援を必要としたきょうだい児への対応のほとんどが教員による課題解決型の対応となっていたことが示された.きょうだい児に対しては,課題背景を理解して対応する必要があることから,現状の対応では不十分であることが課題となっていた.以上の点から,学校が予防的観点できょうだい児の生活状況を把握する役割を担い,教員と学校専門職が専門性を発揮し,連携を図りながら,きょうだい児に対して必要な支援が行き届くシステムを整備する必要性について言及した.